■経営コンサルタントの頭の中8■広告宣伝費と粗利率の関係性
工務店経営のキモは何でしょうか?
これについては、これまでも散々考えてきました。
今回は違う視点で、皆さんに問題提起してみたいと思います。 僕は工務店経営のキモは、利益だと思います。
これはどういうことかといえば、まずは大きな意味で粗利という部分での利益です。
工務店経営における粗利率の確保は、かねてからの最大の問題です。
昔から言われてきていることなのですが、
現在の工務店では、粗利率が25%以上、できれば30%ないと集客に広告を使えません。
逆に言えば、もし今新築の粗利率が25%以下の工務店がいらっしゃったとすれば、
直ぐにも売値を上げないといけません。
例えば、1650万円で売っている住宅の原価率が80%だとします。
粗利額は、230万円しかありません。
これでは、社長がきちんとした給料を取って、
宣伝広告費をかけてお客様を集めているとすると、どんどん経営が苦しくなります。
ですから、1650万円で売っている住宅の場合は、
粗利額を400万円以上きちんと確保するか、
確保できていないのであれば、確保できるまで売値を上げる必要があります。
売値の値上げは、明日からできますので直ぐにでも実行できます。
1棟住宅を売って350万円程度は何としても粗利を確保して下さい。
多くの工務店様は、「値上げをしたら売れなくなる」、
「儲けすぎは良くない」と思っていらっしゃるかもしれませんが、
きちんとした接客をして、お客様の声を十分に聞いた提案であれば、
50万円や100万円値上げしたところで、他社に流れるということは決してありません。
もし、他社にお客様が流れたとすれば、どこかで自信のない接客を行っていたり、
お客様から今までより高額なお金をいただくことの罪悪感から
受注を遠ざけているケースの方が多いのです。
多くの工務店様は、むしろ安売りしすぎてお客様から、
品質も悪いと思われているのではないかなと心配してしまいます。
堂々と値上げをして下さい。それだけの商品は提供しているはずです。
また、値上げに罪悪感があるのであれば、ご自分や社員の給料を上げて、退路を絶って下さい。
背水の陣を組まない限り決して、肝の据わった経営は出来ないと思います。
多くの工務店様の場合は、最終的にサービス工事やダメ工事が利益の足を引っ張っている事があります。
工務店様の最終利益率は、1~3%です。
つまり、売上が1億円の工務店様で、
税引き前利益は100~300万円しかあげていないのではないでしょうか。
逆算すれば、1650万円の住宅で16.5万円以上の値引きやダメ工事が発生すると
工務店様は赤字になってしまうということに気がついてください。
たった15万円、20万円の損害が貴社にとって実は大きな損害になる訳です。
多くの工務店の社長とお話ししていると、「次に入金があるから」というお話を良く聞きますが、
資金というのはこれだけ重要だということを確認いただきたいと思います。
とはいうものの、広告宣伝費などを使わなければ新規のお客様は集まりません。
新規のお客様を集め続けないと、工務店と言わずどんな業種でも成長はしません。
そのための費用をしっかり確保するために、
粗利率をしっかり確保する事を経営の旨としていただきたいと思います。
粗利率の低い受注は、最終的に赤字になるので断るという勇気も必要です。
(2016年2月20日)
■経営コンサルタントの頭の中 バックナンバー■
(1) 経営コンサルタントの頭の中
(2) FC住宅が売れない理由
(3) 住宅営業で契約をとるために
(4) 集客と住宅営業のノウハウ
(5) お客様の声を役立てよう
(6) お客様目線を大切に
(7) 工務店経営の悩みとは?