プロ向けの中古住宅の話

こんにちは。

今日もご覧いただきありがとうございます。

株式会社MXエンジニアリングの湊です。

さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。

《《《2021年9月1日の断熱ブログ第57号》》》

中古住宅の未来は明るいのか?暗いのか?

プロ向けに中古住宅に関する将来の話をちょっとしてみたいと思います。

というのも、当社としては事業として、工務店の皆さんが中古住宅のリノベ事業を始めるための様々なツールをどんどん準備しているからです。

当社の判断としては、中古住宅ブームみたいなものがくる?かもしれないと思って準備していますが、現実はどうなのでしょうか?

まずは、供給面

供給面に関していえば、これは安泰です。

平成30年の総務省のデータによれば、現在の住宅の総戸数は、6200万棟前後です。その後3年ほど経過していますので実数的には、6300~6400万棟になっていると思われます。

総務省・統計局 平成30年住宅・土地統計調査 
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html

このうち、【住宅及び世帯に関する基本集計】によるとこんな感じです。

そして、肝心の空き家率は、順調に増えていますね。これが売上げなら良いんですが。

つまり、何もしなくても増えているということになります。

平成30年(2018年)当時で840万棟が空き家でした。2023年の調査では900万棟前後。2033年の調査では1000万棟がみえてくると思います。

さらに、この同じページにある【住宅の構造等に関する集計】によると、空き家に関しては、半数が相続・贈与がその入手方法だとのことです。

建築時期は、こんな感じですね。

1970年以前のかなり古い住宅が全体の43%。70年といえば築50年です。71年から80年が23%ですので、合わせて66%つまり、2/3が築40年以上ということになります。

つまり、古家付き土地の状態が全体の7割程度ということになると思います。

供給面に問題は無いが、とにかく古い住宅が多いということですね。

お客様の変化

次に書いてであるお客様ですが、皆さんも感じていると思いますが、こんな感じです。

国土交通省 住宅局 平成30年度住宅市場動向調査の結果
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000135.html

中古住宅はどちらかといえば、ちょっと高齢になる感じですね。注文住宅は20代、30代の合計が58%なのに対して、分譲だと69%とおよそ7割に達します。

それに対して、中古住宅は、43%を半分以下になってしまいます。中古住宅の取得は、30代後半から40代のかけて、初動でちょっと動けなかった方々の不動産入手手段になっている感じですね。

そして、少し調査対象が違うので厳密に比較ではないのですが、所得も中古住宅を取得する層は、新築の注文住宅に比べて世帯年収も低いという傾向が見られます。

つまり、想定する層は、30代後半以降で、新築分譲住宅や注文住宅にチャレンジできなかった世代ということになるでしょう。

ここからはあくまで想像ですが、多分晩婚で子供が居ないか少ない家庭かもしれません。

それから購入資金ですが、注文住宅が土地建物で3,900万円。中古住宅が2,800万円ぐらい使っています。

もちろん全国平均ですので、大都市圏の金額が反映されています。

数値を信用すると、こんな感じですね。

注文住宅(+土地) 3,971万円
分譲住宅     3,933万円
中古住宅     2,814万円

そうすると、新築の注文住宅よりも500万円、新築の分譲住宅200~300万円ぐらい安いとお客様は地方でも充分に付きそうに感じられます。

統計上の数値を工務店の感覚で観るとそんなイメージでしょうか。もちろん、ご自身の地方では、それぞれに実態調査が必要だと思います。

中古住宅の将来性

で、最終的に中古住宅の将来性を書いていきたいと思います。

ただし、その前に、読者の皆さんの地域によっては、所得、土地の価格、分譲住宅の価格など大きな違いがあります。なので、ここで書いてある数字が違っているから、うちは違うと思わないで欲しいのです。

あくまで考え方なので、この考えでいけば、ご自分の施工エリアで市場があるか無いか?という話で検討いただきたいのです。

ここでは2パターン考えたいと思います。

まずは、どちらの住宅でも価格費用の検討をします。

共通費用 およそ700万円

40万円  足場、外壁塗装
150万円 お風呂、キッチン、洗面化粧台入れ替え
70万円  基礎周り
50万円  床入れ替え
80万円  内装(壁紙、下地、天井工事)
80万円  水道配管入替・器具つけ
70万円  電気配線入替
20万円  照明入替
100万円 部分解体
30万円  廃却費用
50万円  断熱工事 100倍ウレタン想定
30万円  内窓追加

パターン1

築50年 パターン

この共通費用に窓入れ替え+柱追加、合板追加で200万円で900万円が実行

新耐震基準適合までやるのなら、更に100万円ぐらいでしょうか?

1000万円

パターン2

新耐震基準パターン

共通費用 700万円

このぐらいでしょうか?

大きく外れていたら申し訳ありません。

そして、物件価格はパターン1が400万円以下で購入したいところです。

パターン2の場合は、600万円~800万円で購入できれば良いですね。

この場合の販売価格は、こんな感じです。

パターン1 物件価格400万円+リノベーション900万円+利益400万円=1700万円

パターン1+新耐震基準適合 で1800万円

パターン2 物件価格800万円+リノベーション800万円+利益400万円=2000万円

これで、地域の分譲住宅よりも300万円安ければ商売になりますね。

これらの実行は、自社でおおよそ読んで作ってみて下さい。

自社の新築よりも500万円安いか、地域の売れている分譲住宅よりも300万円ぐらい安いかがポイントですかね。

築浅の新耐震基準に適合している住宅の場合は、もっとリノベーション費用を安くできるかもしれません。そうなれば、販売価格も下げられます。

ちなみ、この文章では買い取り再販想定ですが、中古住宅仲介+リノベの方が工務店さんにとってはリスクが少ないですね。

ただし、その場合は不動産仲介の登記が必要です。最近は宅建持っている経営者が増えてきていますが、今後工務店は宅建免許を取っていくということも考えるべきかなと思っております。

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Posted by 湊 洋一