断熱等級7狂想曲

こんにちは。

今日もご覧いただきありがとうございます。

株式会社MXエンジニアリングの湊です。

さて、今日も工務店の役に立って、元気になる記事を書いていきたいと思います。

《《《2021年11月17日の日本一わかりやすいエコ住宅の作り方ブログ第123号》》》

断熱等級7が熱い

実は、今回のジャパンホームショーで断熱材の出展は止めようと思っていました。

当社が取り扱うPAXという換気システムで勝負しようと考えていたのですが。

展示会の直前に、先日お伝えした国土交通省の認定する断熱等級7(案)を発表したので、急遽断熱材の展示に切り替えました。

国土交通省が認定する断熱等級7

結果として、様々な工務店だけではなく、大手ハウスメーカーさんが、断熱等級7についてのヒアリングこの展示会で行うという事態になっています。

当社としては、この断熱等級7について詳しく書いた号外を用意して、新たに登場した認定基準を解説しているのですが、ほとんどの工務店さんはこのニュースを読んでこられていますね。

工務店だけではなく、飯田産業グループの各企業様、積水ハウス、ダイワハウスなどの大手においても、何か良いソリューションがないかと探し回っているようです。

そんなに良いものはもうはっきり言ってありません。

あったら僕が手がけています。

断熱材の新技術

比較的最近出た新技術は、真空断熱材(VIP)とエアロジェルです。

真空断熱材は、薄くて高性能で、なんとか供給体制を整えましたが、思ったよりも価格が下がりませんでした。

今、パナソニックさんが、リクシルのココエコとして使っているボードの断熱材を供給していますが、1平米1万円程度します。

これは冷蔵庫や、エコキュート用に開発したものの流用品です。

その他に、旭ファイバーガラスさんが取り扱っていますが、いろいろ致命的な欠点があって実用化にするのは難しそうです。

真空断熱材は熱伝導率が、0.0027w/mKというデータを当社は建材試験センターで測定されました。中心部分の性能で、周辺部分はここから半分以下に性能が下がっていきます。

パナソニック社の商品は、この数値が0.002を切っている材料も供給できるようです。ただし、これは切れないので、壁の中に入れないといけません。

エアロジェルは、ウレタンに混ぜたり、モルタルに混ぜたりして使いますが、ウレタンに混ぜたときに熱伝導率が0.010w/mK程度のものができるようです。これは某ウレタンメーカーが数年前に開発していましたが、その後の経過は聞きません。

真空断熱材にしても、エアロジェルにしても高すぎるというのと、長期間の品質の安定性に欠ける部分があって、欧州も米国も実用化を断念しています。

このあたりかなり詳しい情報を持っているのですが、紙面の関係でこの程度しか書けません。詳しく聞きたい方は、minato@mx-eng.jpへメールください。

欧州での選択

そして、結局欧州ではこなれているもの、価格の安いものを使う形になっています。

グラスウール、ロックウール、EPSなどです。フェノールボードや、ウレタンボードは欧州ではほとんど見かけません。展示会には出ていますが、施工ではこれ以外には、木質系断熱材が少しあるぐらいですね。

理由は環境へのインパクトが比較的小さいということと、欧州の場合は100年持たないと使えないという判断になります。

ドイツの不動産は築200年という物件もありますので、30年、50年単位では不十分と言われてしまう訳です。

日本の場合は、当社が施工しているウレタンも、性能が出るので問題はありません、住宅の寿命は以前は26年と言われていたのが、現在は60年ほどになっています。木造ですから頑張って100年持てば御の字だと思います。

現在の住宅は100年持たせることは可能ですが、実際に100年持った実績がある建材は、欧州のロックウールぐらいではないでしょうか。とても良いものですが、恐ろしく高価です。

このあたりは、工務店のポリシーになります。経済性だけを重視して、安さだけを追求するのか?それとも、断熱等級7を取り入れて、ある程度高性能な住宅を建てられるようにしておくのか?

もちろん、お客様ありきでないといけません。お客様の8割はそこまでの断熱を望んでいませんし、価格を重視するでしょう。残りの2割のお客様は、せっかくだったら最高等級で家を建てたいと考える人になってくるでしょうね。

いずれにしても、高性能化は避けられません。

当社は、当社のネットワークを駆使して、住宅の高性能化のサポートを引き続き行って参ります。

どんな未来がやってくるのかは、この断熱等級7が認定されるのか?それとも等級6までになるのか?によって変わってくるかもしれません。

また、メルマガも頑張って毎日書いています。お申し込みは下記からお願いいたします。

Posted by 湊 洋一