床下エアコン
空調提案をおこなう
松尾設計室の松尾和也先生のセミナーを当社で開催しはじめて、3年目になりました。
表にあったチラシにも記載がありますが、床下エアコンを採用する住宅が増えてきました。今回は床下エアコンの採用にあたって、注意点をお伝えしていきます。
床下エアコンは、上記のように吹き出し口を床下、吸い込み口を床上になるように設置することを言います。
このエアコンのメリットは、こんな感じです。
- 市販のエアコンを工夫して、暖房に使える。
- 床がほんのり暖かくなるので、床暖房の必要がなくなる。
- 広い範囲を1台のエアコンでカバーできる。
- そもそも10万円台で床全体を温める機器はエアコン以外にない。
デメリットとしては、エアコンの保証が適用されない可能性があります。保証といっても1年ですから1年が過ぎれば修理などは有償対応ですので、大問題ではありません。ただし、お客様にもこの点は必ずお伝えしておいてください。
もう一つは、基礎断熱+ガラリ設置が必須になります。基礎断熱+ガラリにしても、床下にほこりがたまるなどということは経験上無いそうです。
ちなみに、1回にエアコンを設置して、2階部分は暖房が必要ないのか?という疑問が湧きますが、これは、断熱がしょぼいと2階の暖房は必要です。具体的にはG1以下の断熱性能だとしたら2階の暖房を別に考えた方が良いかもしれません。
これがG2以上の性能があれば、1階の暖房だけを考えておけば大丈夫な事が多いです。
当社の場合は建物全体の冷暖房負荷を計算した上で、適切なサイズを提案しています。具体的には、最高冷暖房負荷に1サイズ程度上の性能の機種を推奨しています。
設計のポイント
設計のポイントは、下記の通りです。
1. 基礎高さは、外周部分に比べて20ミリ下げて外周部以外は気密パッキンを使う。
2. 極力、基礎は外周部だけとして、内側の壁を減らす。そのために地中バリを活用。
3. ガラリの数は、充分取ること。数が少ないよりも、多すぎる方が失敗しにくい。
4. 必ず、暖房専用として、冷房には非常時以外使わないように指導する。
この4番の、暖房専用は非常に重要です。また、これ以外に、写真にあるように極力エアコンと床面の隙間をなくすというのは施工上必要です。
この隙間が大きいとここから温風が逆流してきてしまいます。この部分がしっかりしまっていると以外に温風が遠くまで飛んでいきます。
実際の現場では、直線では8メートル程度までは問題なく温風が届いていました。
サーモグラフィーで確認するとエアコン本体から近いと35度以上、遠いと24度程度になっていました。広い面積をカバーするときは慎重に設計しないといけませんね。