経営コンサルタントの頭の中 51
住宅の市場から考える自社の立ち位置
工務店さんのホームページを見ると、多くの会社のサイトでこんな文章がならびます。
- 健康のための家づくり・高断熱高気密
- 材料を選んで健康・快適
- オシャレなデザイン
- 親身な・親切な提案
- 地元密着
- 長持ちする家づくり
これらのキャッチフレーズは本当に手垢が付いてしまっていますが、未だにほとんど工務店さんが使っていますね。
これらのことはとても大切ではありますが、これだけでお客様が納得して選んでくれるかと言え
ば、全く違うところを見ているのではないかなと思います。
その前に、まず市場を考えてみたいと思います。
地域の人口が10万人の場合です。現在の新築の着工棟数は、人口比0.8%ぐらいです。
つまり、賃貸住宅、集合住宅を含めて年間の着工棟数は、800棟ぐらいでしょうか?このうち注文住宅は30%前後ですから、200~250棟が注文住宅と考えて良いと思います。人口が12万人の場合は1.2倍すればだいたいあっていると思います。
そして、この200棟のうち貴社はどのぐらい受注したいと考えますか?
100%の受注は不可能
ここで100棟受注しようと思うとかなり大変です。というのも、失注を考えると市場占有率が50%というのは、100%近いお客様に商談しないと成り立ちません。
実際に、熊野市にあるクレバリーホームさんは、商圏人口3万人ほどで年間20棟以上受注できています。本当に紀伊半島の先端の小さな街なので目立った競合はいません。ですので、ほとんどのお客様が1度はクレバリーを検討するそうです。
皆さんの市場はここまで極端ではないと思います。大手がいて、強い工務店がいると当然ながら皆さんの会社の存在が、地域の方のどれぐらいの方に知られているか?心許ないのではないでしょうか。
以前、工務店さんに自社の前を歩いている方に、自社のことを聞いてみた所、自社の事を知っている人があまりいなくて驚いたという経験もありました。これはかなりに極端な例ですが、まずは知られていないと、集客も大変です。
また、市場全体200棟の注文住宅のうち、貴社が5棟欲しい場合と20棟欲しい場合ではメッセージが大きく異なるという事です。
20棟の受注のためには、最低でも40組のお客様に商談しないといけません。そうすると、最低でも200組のお客様から資料請求か見学会に来場して貰えないといけません。これは年間棟数に匹敵する大きな数字です。
見学会に年間200組集めるためには、1回にどのぐらいの集客が必要でしょうか?そのためのメッセージはどうしましょう?どのような会社であれば、お客様は年間200組集まってくれるでしょうか?これを考えるのが社長の仕事です。
これに対して、5棟の場合は、年間に20~40組で充分です。
年間棟数が少なくなると接客する数は少なくても棟数は取れるようになります。1組に使う時間が延びるから当然です。
年間集客が20~40組で充分だというのであれば、かなりとんがったメッセージでもお客様は集まります。
他社が伝えていない程のニッチなメッセージでも充分に伝わります。
どんな立ち位置がいいのか?
では、どんな立ち位置であれば、お客様から支持される工務店になるのでしょうか?
どんな立ち位置でも良いのですが、お客様のためになる+他社があまり伝えていないことの組み合わせで考えると良いと思います。
もちろん自社の強みでないと意味が無いので、このあたりを組み合わせて自社のメッセージを作っていただければと思います。
それは商品でなくても構いません。住宅ローン、建物の構造、見学会の接客何でも良いので地域No.1、日本一のキャッチに入れて戴きたいと思います。
お客様は、正直なところ建物の仕様に興味があるから選んでいるわけではないのです。
建物は大して差がないとお客様は思っています。ですから、メッセージは建物以外が良かったりするんですが、詳しい解説は次回にでも行います。今月もありがとうございます。来月も読んでください。