パッシブハウスの実践
パッシブハウスにするためには?
実際にパッシブハウスに認定されるためには、ドイツ語の詳細検討図と計算書が必要になります。
現在パッシブハウスジャパンでは、その認定を行っているようですが、まずは認定をするためには、下記の計算が必要になります。
1㎡当たりのエネルギー量kwh/㎡(年間)
- 冷暖房負荷が各15kwh/㎡以下
- 一次エネルギー消費量(家電も含む)120kwh/㎡以下
- 気密性能として50㎩の加圧時の漏気回数0.6回以下 ※漏気回数0.6回以下=隙間相当面積(C値)=0.2c㎡/㎡以下となる。
この値は先月も出しましたが、C値に関しては、測定データと換算式をつければ良いようですが、問題は、冷暖房負荷の数値です。
冷暖房負荷は、それほど難しくありません。高性能エアコン+完璧な日射遮蔽+UA値が0.4以下であれば問題なく達成レベルです。
ところが暖房負荷は、UA値0.25にしても難しい場合が出てきます。そこを補うのが日射取得という事になります。
このあたりは数値を先月号に書いたので、ご記憶に新しいかもしれませんが、掃き出しの窓を、最低でも上下で4面程度用意するとよいでしょう。
その結果、日中は暖房をあまり使わないというレベルで、パッシブハウスグレードが完成するのではないでしょうか。
ただ、パッシブハウスにするにはもう一つポイントがあります。それが、換気システムです。
熱交換型換気システムが必須
暖房負荷は、暖房機器の必要とするエネルギーになります。一番効率が良いのは日本の場合はエアコンですので、必然としてエアコンを使います。
このエアコンで暖房を行い、日中はなるべく太陽光を取り入れて暖房の負荷を下げるわけですが、熱交換型換気システムを入れないと、法定で義務づけられた0.5回の換気を行うと、冬の場合、折角の暖気が逃げていくことになります。
この逃げる熱を計算していると、かなりもったいないので熱交換器でしっかり熱交換を行いながら換気をする方がパッシハウスになります。
どのシステムが良いのか?とよく聞かれますが、それはお客様のご予算やダクトの長さなどによって異なります。
個人的にはフレキのダクトをあまり長い距離使うのは問題があるのかなと思っているので、本州だと当社も取り扱っているベントサンなどの壁に取り付けるタイプの換気システムがお勧めです。
また、北海道の場合は、外気温が下がってくると交換効率がかなり下がってくるので、このタイプだと問題があるかもしれませんね。
その場合は欧州産の全熱交換型を入れるか、国産だとパナソニック、マーベックスなどが良いでしょう。外気温による交換効率が落ちにくいものが良いです。
とにかくパッシブをやる場合はこれらの装置がないと、建物の性能がかなり高くても暖房負荷でNGになってしまいますので、機種の選定を含めて注意が必要ですね。