UA値競争の背景を考える

こんにちは。

今日もご覧いただきありがとうございます。

株式会社MXエンジニアリングの湊です。

さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。

《《《2021年7月29日の断熱ブログ第24号》》》

UA値による快適性の違い

工務店さんによって、考えは違うでしょうか?

以前よく聞かれたのは、どのぐらいの断熱性能にすれば良いのか

という質問が以前はよくありました。

それ以前に、UA値による快適性の違いがあります。

当社は断熱事業をやっている会社として、4等級以下ぐらいから、UA値が0.3を切る程度の住宅までやっているのでいろいろな住宅を体感しています。

そこから、解ることをお伝えして行きます。

ここで語っているのは6地域での感覚ですので、5地域以北の方は少し数字の読み替えが必要です。

既存住宅の性能は最悪

その前に、お客様がどんなところに住んでいるかは確実にヒアリングしてください。

日本の住宅のストック、つまり既存住宅ですね。

この性能は、温熱等級4以下が8割を占めます

また、無断熱の住宅が3割以上あります。

そして、冬の暖房を切った室温を聞くと2度、3度当たり前です。

エアコンだと寒いので、石油ファンヒーターやこたつが手放せない住宅が過半数ではないでしょうか。

ところが、大多数のマンションは温かいといわれています。

私も15年前ぐらいマンションに住んでいたことがありますが、窓がシングルのアルミサッシでも冬寒いと感じたことはあまりありませんでした。

おおよそ経験値からくるラインですが、UA値的には0.6から0.7w/m2K程度の性能があると思います。

温熱等級4でも温かい

そのため、真冬に暖房を切ると室温が2度前後になるような酷い性能の家に住んでいる方にとっては、温熱等級4の家で充分に温かいと感じることでしょう。

ですが、マンションから引っ越してくるお客様にとっては、冬に寒い住宅ということになってしまいますね。

ですので、最低でもUA値0.6w/㎡K程度の性能は必要ということになります。

競合対策としての断熱性能

とにかく、現状のお客様対策としてUA値0.6w/㎡K以上の性能であれば充分と言うことになりますが、競合を見ていきましょう。

大手の動向としては、『家は性能』の一条工務店は、6地域であってもUA値0.28w/㎡K程度で建てています。

そして、先日タマホームの記事でもお伝えしましたが、タマホームがUA値0.37w/㎡Kで建て始めました。

その他の大手は、概ねZEHを満足する性能であるUA値0.6w/㎡Kが標準になっていますので、まずはこのあたりが目標でしょうか。

お客様の動向

では、何も言わないお客様は、何をどう考えているのでしょうか?

キャズム理論というのはご存知でしょうか。

下記の図のように、新しい市場がどのように普及していくのか?ということを表したグラフです。

新しいものを直ぐに飛びつくイノベーターが全体の5%前後。

次のアーリーアダプターが全体の10%。

ここまでで終わるものがほとんどなのですが、この次にあるキャズムという谷を飛び越えたら、その次に全体の3割を占めるアーリーマジョリティに火が付きます。

そうするとブームという感じから普及期になります。

映画『鬼滅の刃』無限列車編は、完全にこのキャズムの谷を飛び越えてアーリーマジョリティにまで人気が移行したため400億円という売上げになりました。

現在、この断熱性能の競争は、このアーリーマジョリティに飛び火しそうになっています。

そうなったら、断熱競争に火が付きます。

これらの数値は比較しやすい為に、競争になりやすいのです。

ということで、競争になったら性能が高ければ高い方が良いものであるとお客様は思ってしまいます。

もちろん、UA値0.35w/㎡K前後にすれば、暖房を切っていても室温は15度を下回るような朝はありません。外気温が零下になっても、室温は15度、16度で安定しています。

UA値を0.2w/㎡K切れば無断防住宅も視野に入ってきます。

まとめ

当然ですが、数値が小さければ小さいほど快適性は上がってきます。

そして、どこまで上げればいいのか?というのは,下記の条件によって変わってきます。

  1. お客様の今住んでいる環境
  2. お客様が信じている事実
  3. お客様のご予算

当然高性能にすれば高くなっていきます。

それと、どんな知見があるか?

これによっても大きく異なります。

当社からの提案は、貴社の標準はともかくできうる最高性能を掲げておくと言うことは必要かなと思うのです。

HEAT20のG3でできる工務店を探しているマニアックな人がどんどん増えていますから。

印象では、今アーリーアダプター段階ですね。

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Posted by 湊 洋一