断熱材の好き嫌い

こんにちは。

今日もご覧いただきありがとうございます。
株式会社MXエンジニアリングの湊です。

さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。

《《《2021年8月20日の断熱ブログ第45号》》》

断熱材の好き嫌いありますか?

工務店さんと話をしているとウレタンはどうも好きになれないとか、グラスウールはチクチクしてとかいろんな好き嫌いを聞きます。

そして、私はセルロースファイバーって使ったことがない(高い割に性能が上がりにくいと思っている)ので、何であんなに多くの人が使うのかなと思っています。

どんな断熱材にも一長一短があります。

本来は、どんな断熱材も市場に出ているものは良いところがあって、欠点もあって攻めどころがあるといえばある状態です。

好き嫌いとしかいえない、横好きとか毛嫌いというもの存在しますね。

新住協のグラウスール好き

これは、有名なのですが『一般社団法人新木造住宅技術研究協議会』(略して新住協)という組織があります。

http://shinjukyo.gr.jp/

この組織は、実は今月方当社も入会してみたのですが、日本では一番老舗のエコ住宅の工務店団体です。

この団体の代表理事の鎌田先生は、断熱材としてはグラウスールを押しています。

もちろんロックウールでも良いのかもしれませんが、とにかく火災になったときに一番安全だという理由で、グラスウールを勧めているそうです。

ただし、以前はグラウスール信者とまで呼ばれた構成員も徐々に他の断熱材をメインに使っている会員さんも増えているようです。

確かに、火災という点ではグラウスールやロックウールといった、鉱物資源から採れる断熱材は少し有利だと思います。

ただし、当社が施工している硬質ウレタンフォームや、EPSという化学系の断熱材も、かなり長い歴史の中で徐々に普及してきています。

また、当社の場合は、きちんと30分防火と、45分準耐火の国交省大臣認定を受けておりますので、正しい使い方をすれば火災に硬質ウレタンフォームやEPSが弱いということはありません。

自然素材住宅のセルロースファイバー好き

自然素材住宅というジャンルには、比較的セルロースファイバーが好きな方が多いようです。

理由は、セルロースファイバーが、新聞紙をホウ酸処理して作られるので、自然素材だということです。

そもそも多くのセルロースファイバーは輸入しているわけで、日本製ならまだともかく、海外からの輸入品ということはかなりの輸送コストがかかっています。

国産の王子製紙さんあたりもセルロースファイバーを生産されていますが、輸入品の方が安いという現象が起こっています。

また、吸湿性は存在しますが、あまり吸湿させると断熱性能が下がるという現象は、吸湿性を誇るセルロースファイバー特有の問題点です。

セルロースファイバーについては、新聞紙を集めてきて国内生産だという事を唱っている組織もあります。

これだと輸入していないし、自社生産なので良いように感じられます。

実際に生産されている企業を数社存じ上げていますが、まずは断熱材としての認定を取得する事とその後の品質管理が大変のようです。

新聞紙は無料で集めてきているようですし、生産した会社で施工して、家も建てているケースが多いので、コストは比較的安価に施工できるようですね。

セルロースファイバーについては、当社が見積もりを取っても壁平米2,000円台前半ぐらいです。なので、工務店様向けに流通しているのは2,500~2,800円ぐらいではないでしょうか?

それで、性能はグラウスールと同等なので、だったらグラウスールの方が安くできるのになと思うこともあります。

もっとも、セルロースファイバーの施工店様は、口をそろえて快適性をおっしゃいます。

新品セルロースファイバーの調湿性能が大きい時には、断熱性能をUA値0.6以下にすれば、確かに快適性は高いのかなと思ったりします。

ローコストか高級住宅に多いウレタン

グラウスールに次いで多いのは、硬質ウレタンフォームです。

特に100倍発泡硬質ウレタンと呼ばれるもので、日本アクアさんが施工されるものと、その対抗品で住宅用の断熱市場の金額ベースではグラウスールよりも多く施工されています。

多分棟数は、まだグラウスールの方が多いと思いますが。

理由は2つあって、1つは、施工が楽であるということですね。大工さんが1日現場を空ければ、施工が完了します。

もう一つは、巧妙な価格政策でしょう。100棟ビルダーには、壁平米900円で施工している施工店もあると聞きました。

一般的に1300円前後だと思いますので、3割引ですね。これだと施工店はあまり利益は出ない水準です。

それでも受注しに行くのはマーケットシェアを増やすとコストが下がるなど良いことがあるのでしょう。

この断熱材の利点は、価格、取り扱いやすさに加えて、機密性が上がりやすいということがあります。

一般的な床断熱でも、C値(隙間相当値)が0.6程度は何もしないでも出せます。

構造用合板が無くても問題ありません。

ただし、弱点は防露です。

きちんと防湿シートを貼ればともかく、張らないと結露の可能性を否定できません。

時に寒い4地域や5地域の中でも寒いところが心配です。

6地域は問題ないようです。

当社が施工している、30倍発泡ウレタンフォームの場合は、透湿抵抗値が高いので、内側背の石膏ボードの手前に防湿シートは不要になります。

100倍発泡硬質ウレタンフォームで寒い地域の方は防湿フイルムが必要ないか今一度確認して欲しいです。

この他の断熱材

最近伸びているのが旭化成建材のネオマフォームというフェノール系の断熱ボードです。この断熱材は、性能はピカイチですね。

熱伝導率は市販されている断熱材でも一番高性能です。熱伝導率が0.020w/mKを誇ります。

値段もかなり高い様ですが、棟数が多い会社は、契約して棟数を決めて少し安くするということをやっているそうです。

ネオマフォーム以外に、フクビ化学工業さんのフェノバボードという商品もあります。

両者とも元々床断熱様のボードでしたが、最近は充填断熱用、付加断熱用とその施工範囲を広げています。

また、まだまだ少ないのですが木質系断熱材というのもあります。

日本では『木の繊維』という会社が販売しているケースが多いのですが、欧州から輸入している会社もあるみたいですね。

この商品は、街の工務店ネットというVC組織が、一番熱容量が大きいのは木質系断熱材だといって使用しています。

決して悪いものではありませんが、価格が高いのが気になるのと、熱容量は木質系断熱材よりも高いものは他にも沢山あります。

少しは有利ですが特筆するべきほどでななさそうです。
【参考】https://environmental-engineering.work/archives/201

では何が良いのか?

個人的には30倍の硬質ウレタンフォームとEPSの湿式工法が良いと思いますが、極論を言えば好き好きです。

所定のUA値が出れば断熱材は何でもいいという設計者がいらっしゃいます。
また、ウレタンやネオマフォームなどの気泡が小さい断熱材を使った方が、明らかに温かく感じるという工務店の社長もいらっしゃいます。
セルロースファイバーの静けさと調湿された空間が好きだという施主もいらっしゃいます。

では、どうすれば良いのか?

というと、これはお客様へのアピールしやすいものを選べば良いのでは、ないでしょうか。

我々施工をしている人間の好き嫌いよりも、受け取ったお客様がどのように感じるか?どんな断熱材を選べば良いのか?この点につきます。

でも、こんなこと言っているから当社の断熱材は、沢山どんどんと売れていかないのかなとも思います。

でも、ウソついて商売しても仕方ないですからね。
また、無知というのは、ウソよりももっと最悪です。
そのためには、知識は徹底的に仕入れています。

バカ高いサーモグラフィーも、WUFIも購入して使って調べています。
大学の研究者、メーカーの方々、設計者などのご意見を総合してお伝えする事が可能です。

断熱材についてのご意見お待ちしております。

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Posted by 湊 洋一