どうして沖縄では断熱が必要ない!といわれているのか? 後編

こんにちは。

今日もご覧いただきありがとうございます。

株式会社MXエンジニアリングの湊です。

さて、今日も工務店の役に立って、元気になる記事を書いていきます。

《《《2022年2月9日の日本一わかりやすいエコ住宅の作り方ブログ第206号》》》

無断熱の住宅はどうなるのか?

無断熱の住宅でもシミュレーションしてみました。

UA値は3.37W/m2Kです。

これだと、全く断熱が無い住宅になります。

窓も、6.51W/mKというシングルの窓を入れてみました。

これで光熱費をシミュレーションしてみると、エアコン2台版ではこうなります。

これは、日射遮蔽を考慮したものです。

無断熱住宅@沖縄

やはり、日射遮蔽を考えないと更に光熱費が上がっていきます。

今回は、エアコン2台でシミュレーションしてみています。念のためUA値が0.85のエアコン2台版も作ってみました。

UA値3.35 エアコン2台 日射遮蔽あり \33,713

             日射遮蔽なし ¥37,964

UA値0.85 エアコン2台 日射遮蔽あり \29,457

             日射遮蔽なし \34,297

昨日のデータと比べてみます。

UA値0.85 エアコン4台、日射遮蔽あり  \17,514

             日射遮蔽なし  \20,135

UA値0.47 エアコン4台  日射遮蔽あり \18,574

             日射遮蔽なし \21,661

これは面白いのですが、結果としては、このような事がわかりました。

沖縄においては、

  1. エアコンの台数は、2台と4台を比較すると4台の方光熱費が安い可能性があります。使い方にも寄りますけれど。
  2. UA値0.85とUA値0.47の結果が差が無かったので、冷房費は断熱には依存しません。
  3. 無断熱よりも、UA値0.85以上の断熱を施した方が明らかに省エネ だから、断熱はいるんです。
  4. 沖縄において日射は必ず遮蔽しないといけない

これは、あくまで昨日掲載した間取りにおいてという話で、エアコンの台数、窓の性能などによって結果が異なります。

このシミュレーション結果だけで高断熱が必要ないと短絡的になってはいけません。

というのは。

沖縄で本当に断熱が必要ないのか?

実際に、我々東京など6地域に住んでいる人間にとっては沖縄の風土はうらやましいことが多いのです。

花粉がないというのもありますが、真冬でも日中の外気温が15度を下回ることがほとんどありません。

ですが、真冬の明け方気温は10度を下回ることも数日は有るにはあります。

そうなると、6地域に住んでいる人間に比べて、かなり寒さに弱い沖縄の方々は暖房を付けると聞いています。

上記のデータは、暖房が一切ゼロを想定してシミュレーションしています。

そのため、無断熱だと建物平均気温が15度前後になります。15度にならなければ良いというライフスタイルならともかく、そうではない場合は暖房を入れる生活が短いながらも有るわけです。

それを考慮すると、個人的な推奨はUA値0.6~0.46ぐらいかなと思います。付加断熱があるとなお良いですが、そのコストはあがりますからね。

ただ、建築コストだけ考えるのであれば、UA値0.85前後の住宅で、寒かったらエアコンで暖房運転すれば良いというのであれば、それでいいのではないでしょうか。

エアコンをなるべく使い高くないという方は、是非高断熱にしていただきたいと思います。

沖縄で最大の敵は室温よりも湿度

このデータを見てください。

那覇市の相対湿度(最大・最低) 2020年 気象庁より

気象庁のデータから、年間の相対湿度をグラフ化してみました。

相対湿度なので気温を知らないといけないのですが、那覇市は真冬で最低気温が16度台、最高気温も33度になりません。

つまり、絶対湿度はおおよそ30gから5g前後を推移しています。関東圏では3g以下になることもありますので、真冬でもかなりの湿度だという事がわかります。

不快指数などを見ても、真夏にはほとんどの人が不快だということを考えても、真夏に除湿をいかにするかというのが、快適な住宅の条件になります。

この除湿を行う条件が下記の2点です。

  1. 気密が良いこと
  2. 除湿量をしっかり確保した上で、寒くしすぎないこと

室温を下げさえすれば、絶対湿度は下がっていきます。エアコンはフィンのところで、どんどん結露を食って、除湿をします。

これで気密が悪いと外からどんどん湿度が入ってきます。

そのため気密をよくする必要があります。

また、除湿は気温がどうしても下がりますが、これを持ち上げることでカラッとした空気を作る事が可能になります。

実は、この過程で、断熱性能はある程度は不可欠です。

断熱性能の良い住宅は、比較的気密も良くなる傾向にあります。

というのは、2重3重に断熱材が空気を遮断するからです。

沖縄の住宅のまとめ

結論を言えば、沖縄は最低でも4等級(UA値0.87)ぐらいの住宅、できれば、UA値0.46を目指す、G2レベルの家づくりもいいのではないでしょうか。

これは、冬対策も有りますし、気密の向上のためでもあります。

夏の日射は必ず避けることが肝心ですね。

そして、気密はなるべく高い建物にしてもらえれば、快適性も上げやすいかなと思っています。

ただし、紙で熱交換を行う、熱交換ユニットは不向きです。

湿度が高くカビの心配もあります。

ということで、セラミック型の熱交換システムが良いのかなと思っています。

本州では、ほとんど暖房用のエアコンで、冷房エネルギーは少ないのですが、沖縄では夏中心で、冬は少ししか使いません。

沖縄の住宅の考察は、こんな感じになりました。ご質問があれば、お受けします。

また、メルマガも頑張って毎日書いています。お申し込みは下記からお願いいたします。

Posted by 湊 洋一