どうして無冷房住宅はできないのか?

こんにちは。

今日もご覧いただきありがとうございます。

株式会社MXエンジニアリングの湊です。

さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。

《《《2021年9月16日の断熱ブログ第70号》》》

冬の無暖房住宅のおさらい

昨日は、無暖房住宅について書いてみました。

まだ読んでないよ。という方はこちらまで。

その中で、無暖房住宅はできるけど、無冷房住宅はできないんです。

と、さらっと書きましたが、今日はどうしてできないのかをお伝えしたいと思っております。

無暖房というのは、冬に生活廃熱と日射取得を上手に使って、暖房が無くても建物の室温が15度以下にならない様にする建物を指します。

この時の建物の熱の収支は、こうなります。

必要な熱量(住宅を健康的に維持できる室温)=生活廃熱+日射取得+暖房(今回はゼロ)

生活廃熱=家電と調理、照明などから出てくる熱

日射取得=太陽光が建物内部に侵入する事での熱

となります。

無冷房住宅は、100%無理です。

これが、夏になるとこうなります。

必要な熱量(住宅を快適に維持できる室温)=生活廃熱+日射取得―冷房

つまり、生活廃熱と日射取得は、室温維持のためには邪魔になるわけです。

これらの熱を取り除いて、更に室温を引き下げないといけません。

極端な話は、暑いのは我慢すれば良いという事にもなります。

しかし、熱中症などの問題があって、生命の危険があります。

高齢者や就学前の子供がいる家庭の夏場の室温は高くても27度以下にして、キチンと水分やミネラルを摂取しないといけません。

なお、このようになった場合は日射取得の熱量は馬鹿にならないので、建物に入る前に遮断してください。これを日射遮蔽といいます。

庇などでもカバーできますが、腰窓などの1平米以上の窓は、必ず外からの光をカットする工夫が必要です。

無い場合は、壁が1平米あたりこのぐらいのエネルギーは入ってきます。

太陽定数 1.37kwh/平米 x cos45度 x断熱low-e 0.51 = 0.50 kwh/平米

つまり、平米あたりの熱量が太陽高度が高い場合は0.5kwh程度、太陽高度がもっと低い午前中や夕方はさらに0.6kwh程度の熱量が入ってきます。

0.6kwhというとこたつが強で付いているのと同じです。

なので、これはなんとしても排除しないともったいないですね。

ですので、太陽光は夏場には極限まで減らした方がエコです。

念のため考える外壁からの熱

窓から入ってこなくても、壁からは入り込みます。

その熱は排熱するための通気なのですが、外張り断熱の場合は、通気が充分に取れない場合があります。

その意味でも、建物の色は明るい方が良いですね。壁の色が黒に近ければ近いほど、壁に熱が蓄えられます。

どのぐらい違うかちょっと計算してみました。

反射率は塗料によっても異なりますが、仮に白い外壁材の反射率が70%、黒の外壁材の反射率が10%とします。

純白の場合は80%程度、漆黒の場合は5%以下というのが一般的です。

太陽は、真夏の一番高い時には、80度近くなってほぼ真上に来ます。冬至の南中高度は32度程度とかなり低くなります。

ですので、真夏は水平線から上がってきて最大78度程度です。しかも8時間太陽が壁に照りつけるので平均が45度として、簡易的に計算してみます。

太陽定数 1.37kwh/平米 x  cos45度 x 白の外壁の吸収率 30%= 0.291kwh/平米

太陽定数 1.37kwh/平米 x  cos45度 x 黒の外壁の吸収率 90%= 0.872kwh/平米

つまり、白だと300whなのが、真っ黒だと900whもの熱を吸収する事になります。あくまでも仮の吸収率での計算ですのでこの通りになるかは、実際の塗材の物性などでご確認ください。

結果として、通気があれば黒でも良いのですが、通気が無い湿式の建物の場合は、明るい色、白に近い色の方が圧倒的に良いですね。

という事で、夏の太陽熱の影響を完全に排除するのはかなり厳しい事がご理解いただけると思います。

でも、高性能な住宅で日射遮蔽をきちんと行えば、当社のシミュレーションでは、冷房費は年間で1万円前後に抑えられます。

更に太陽光発電を併用すれば、日中のエアコン代は相殺できます。

近いうちに、太陽光パネルの話も書いていきたいと思いますが。7kwh程度の太陽光パネルは、今のkwhあたり20万円以下、下手すると10万円程度の場合は、絶対につけた方が得になります。

お客様のためにも、太陽光パネルの提案をお願いいたします。

今日は無冷房住宅の話を考えてみました。やはり、冬に生活廃熱は活用できるのですが、夏はそれを取り除かないといけないのは、なかなか難しいですね。

ですが、一般的な住宅で暖房費と冷房費だと、暖房費が4倍以上多いですから絶対に高断熱住宅はお客様の満足度が高くなりますね。

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Posted by mx-eng