全館空調不要論
こんにちは。
今日もご覧いただきありがとうございます。
株式会社MXエンジニアリングの湊です。
さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。
《《《2021年10月10日の湊洋一ブログ第89号》》
全館空調が必要か?
先日、三重県のパッシブハウス認定住宅を見せて貰いました。
UA値は0.26だそうです。当社が30倍発泡ウレタンを施工させてもらいました。
その工務店の社長様と話をしていたのですが、このような事をおっしゃっていました。
『UA値が0.3を切った建物をいくつか建てているけれども、生活スタイルを見せていただくとエアコン2台以内で問題ない。小屋裏エアコンなんか無くても夏は涼しいよ。』
この会社が建てている住宅は、UA値が0.45~0.23ぐらい。ですが、最近はほとんどUA値0.35以下だそうです。
こんな建物を建てていると、空調に気を配る必要は無くなります。
建物の2階のどこかに6畳用エアコンがあって、それを24時間運転して少しドアを開けておくだけで建物全体が涼しく快適になります。
ですが、ある北関東のパッシブ設計が得意な工務店は、このようにおっしゃっていました。
『特に、下屋が少し大きくなると、部屋間の温度差を小さくするためには、テクニックが必要になる。小屋裏エアコンとファンだけでは温度差が開くので注意が必要だ。』
ということです。お二人の社長様は同じように空調の話をされていますが、全然違うことをおっしゃっています。
さて、高断熱住宅と空調の関係はどうなっているのでしょうか。
奇しくもこのお二人の社長様は、5地域の工務店さんなんです。
空調とは?
そもそも空調とは何でしょうか?
空調は、放置しておくと不快な状況を、室温を下げる、あるいは上げることで、快適にする事を指します。
温度を下げるのは、エアコンと輻射熱冷暖房パネルがあります。
温度を上げるものは、暖房器具と言われている物全てになります。
両方使えるのは、輻射熱冷暖房パネルとエアコンですが。圧倒的にエアコンの方がコストパフォーマンスが良いです。理由は使われている資源の量と販売量ですね。
輻射熱冷暖房パネル余り売れていませんし、そもそも大きな金属パネルが必要です。樹脂でできている製品もありますが、こちらもそんなに売れていないので、非常に高いです。
正直、工務店の社長が好きならやったら良いと思いますが、設置箇所の計算もややこしいですし、一部の高収入層のための物だというのが,僕の印象ですね。
悪い物ではありませんが、効率と価格を考えるとエアコン1択だと思います。
そうして、UA値を上げれば上げるほどエアコンの必要台数は少なくなり、サイズは小さくなります。
先日シミュレーションしてみましたが、東京など6地域の場合は、暖房用、冷房用とも6畳用エアコン1台で建物全体の温度を快適に保てています。特に6地域の場合は、暖房用がなしても何とかなりますね。
2地域の札幌の場合でも、冷房用は6畳用1台、暖房用は14畳用1台あれば成り立つのです。
部屋館の温度差
では、北関東の工務店の社長がおっしゃっていた、『部屋館の温度差』について考えてみたいと思います。
これは、それこそシミュレーションをしっかりしないといけないのですが、基本的にこのように考えてくだされば大きく間違えはありません。
1階と2階の温度差は、吹き抜けが半畳でもあれば、1度程度に抑えられる。ただし、リビング階段しか無いと2度程度まで開く。更に、何も無いとそれ以上に開くので夏は2階が暑いということも起きるかもしれない。
この場合は、1階には暖房用エアコン、2階か小屋裏には冷房用エアコンが設置してあることが前提です。
更に、UA値が0.5より悪くなっていくと外からの影響が大きくなります。寒い所をではその差が更に大きくなります。
このあたりは、実際にUA値0.4を切るような住宅を建てている,高断熱住宅の工務店さんはよくご理解いただけると思います。
温度差が開くことがイヤか?それとも気にしないか?はお客様の感覚次第ですし、工務店のこだわりにもよると思います。
YUCACOシステムのように全館の温度差が厳密に2度以内というシステムもありますが。どうしてもシステムの方が高くなりますね。
個人的にはファンもできるだけ数を減らして、外皮の性能を少し上げていったほうが良いのかな?と思いますね。
このあたりも人それぞれだと思います。6地域ならG2あれば充分ということであれば、充填断熱だけで問題なく対応できますからね。
でも、人間というのは上があると知ると目指したくなるものなんですよね。
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