オール樹脂の窓に固執する必要があるか?
こんにちは。
今日もご覧いただきありがとうございます。
株式会社MXエンジニアリングの湊です。
さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。
《《《2021年9月6日の断熱ブログ第62号》》》
住宅の性能を一番上げるのは窓
住宅の性能に関しては、いろいろと考えがあると思いますが、実はまず第一に窓を対策しないといけません。
理由はここにあります。
なお、この記述は、エコハウスのウソ2(アマゾンhttps://amzn.to/3nc2U7f)からヒントをいただいて書いています。
高さ5m x 奥行き 6m x 長さ 10mの建物があったとします。
この時の建物の外気に接する面積は、こうなります。
5x10m 2面
5x6m 2面
6x10 2面
つまり外皮面積は、280平米になります。
このうち、壁はGW100ミリ、天井はGW200ミリ、床はGW100ミリ相当とします。
なお、窓を30平米取ると考えます。
断熱性能は、各部位で考えます。
なお、面積はそれぞれこうなります。
床 60平米
天井 60平米
窓 30平米
壁 130平米
GWの熱伝導率は、0.034w/mKとして計算します。
100ミリの壁・床の熱貫流率性能は、0.034÷0.1(100ミリ/1メートル)=0.34w/m2Kです。
200ミリの天井は0.17w/m2Kとなります。
窓は、アルミ樹脂のペアU値3.49とオール樹脂のU値1.90で比較してみます。
アルミ樹脂のペアU3.49のなどを使った場合は、UAはこのように計算できます、
(0.34x(壁130+床60)+0.17x(天井60)+3.49x(窓30))/280=0.64
ということで、UA値が0・64になります。
同様に、樹脂ペアの1.90の場合は、こうなります。
(0.34x(壁130+床60)+0.17x(天井60)+1.90x(窓30))/280=0.47
ということで、この時のUA値は0.47になっています。
つまり、窓を樹脂アルミのペアから、オール樹脂ペアにするだけで建物のUA値は0.64⇒0.47と3割程度上がりました。
数値的には、6地域であればZEHにもならないような建物を、断熱材のスペックを全く触らずにHEAT20のG2に近い値まで引き上げる様な性能になっています。
実際には、壁や屋根に関していえば、断材材以外の様々な性能が絡んで来ますので、これらの要素を全部加味しないといけません。
今回は簡単に建物をイメージして貰えるように考えてみました。
その意味でもモデルととことん単純化させて貰いました。
もちろん、どんどん窓の性能をしようにも、エルスターXや、PAW430でもU値が0.7~0.9ぐらいですので、GW100ミリの壁の0.34にすらなかなか敵いません。
窓は、ちょっと性能の良い窓を採用するだけで急激に建物の性能UPが計れるとても重要部品です。
では、窓が樹脂アルミとオール樹脂とどちらが良いのか?
このような意見を見かけました。
これは僕のまったく知らない設計士さんのTwitterでの発言です。
短パンガラスというのは、単板ガラスの誤植だと思います。
これについてはちょっと考えてみたいと思います。
樹脂窓とアルミ樹脂だと熱貫流率は、今度は実際のWEBに書かれている実数字だと、このぐらい違います。
そして、前述の建物でUA値を計算してみるとこうなりました。
サーモスII-H Low-e ガラス U値 2.33 モデルの建物のUA値 0.52
もっと性能の悪い窓と比較することもできましたが、最近のデータを活用した方が良いかなと思って、シェアの高いサーモスII-Hで比較しています。
APW330 樹脂スペーサー U値 1.31 モデルの建物UA値 0.40
そして、YKKAPさんのAPW330のWEBに載っている窓のサーモグラフィーがこんな感じですね。夏の窓辺だと2~3度ではなく6度ぐらい異なっています。これは、サーモスII-HとAPWの比較ではありませんから、ご注意下さいね。
前先生の著作『エコハウスのウソ2』では、冬の窓の温度がYKKAPさんの協力の下で書かれています。
著作権の関係で転載はできませんが、数字ははっきりかけます。
窓の外側をマイナス10度まで下げて、室温20度の時に
窓U値 2.5の樹脂アルミ複合サッシが、窓のセンターで13.3度、枠で9.7度
窓U値 1.3のオール樹脂窓ペアが、窓センターで16.9度、枠で15.7度でした。
もちろん、日本のほとんどの地域で真冬でもマイナス10度まで下がることはないでしょうから、この設計士の方のおっしゃっていることは、まずは5地域以南においては正しいと思います。
ですが、窓枠の温度差は6度ほど開いていて、アルミ樹脂のペアでは、枠は冬の間は結露するんだろうなと考えられます。
気になる方は、この書籍(エコハウスのウソ2)は本当にお勧めなので買ってみて下さい。
もっとも、結露するかしないかは、下記の記事の通りライフスタイルにも寄るんですけどね。
この露点に関して理解されていれば、結露は恐るるに足らずでございます。
このあたりの知識を総合的に頭に入れて、オール樹脂がいいのか?あるいは、アルミ樹脂のペアでも充分なのか?をお客様のしっかり検討して貰うのが良いと思います。
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