熱交換型換気システムの必要性と価格3
おはようございます。
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《《《2023年3月7日 エコ住宅をつくる中小工務店のためのブログ第133号》》》
熱交換型換気システムですが、熱エネルギーの回収以外にもメリットがあります。
これは、とても広い範囲での熱エネルギーの回収になりますが、潜熱の回収、つまり湿度の回収という側面です。
これは、三菱のロスナイのカタログ上にも掲載されていますが。熱交換ユニットによるものが大きいのです。
現在、三菱では、3つの熱交換ユニットが用意されています。
紙製全熱(ハイパーエコエレメント)
透湿膜製全熱
耐水紙製顕熱
基本の熱交換の仕組みは、三菱のサイトにあるこんな感じで行われます。
つまり、入ってくる空気と出ていく空気が膜を1枚隔てて通り過ぎる過程で、熱が交換されます。
熱の交換とはその空気の温度エネルギーと湿度を合わせて、全熱。温度エネルギーだけだと顕熱と呼んでいますので。上記の熱交換ユニットの中で。耐水紙製顕熱というのは湿度を交換しないユニットです。
残りの2つは湿度をある程度交換します。
全熱交換ユニット
この膜の設計で熱交換効率が変わります。
三菱場合は、ハイパーエコエレメントの方が、浸透膜よりも効率が良いようです。
パイパーエコエレメントを使うと、85~88%の熱交換効率を達成しています。
そして、浸透膜全熱のタイプは浴室の換気もまとめられるという事ですので、こちらは湿度に強いタイプになるのでしょう。
普通は、この紙製のエレメントではなく、浴室を換気経路から外してハイパーエコエレメントを選べば良いのかなと思います。
熱交換効率が85%として、どのぐらいの湿度を回収できるか考えてみます。
下記の資料を見ると、エンタルピーの交換効率が75%程度になっています。これは、温度だけなら85%程度回収するけれども、湿度も含めると効率は75%程度まで落ちるという事を意味します。
夏の温度と湿度の変化
夏の室内は、25度で湿度が60%とします。これを外気が35度で、湿度が70%と考えると熱交換型換気システムを通すとこうなります。
屋内 25度 相対湿度60% 絶対湿度 13.8g/立米
屋外 35度 相対湿度70% 絶対湿度 27.7g/立米
温度交換効率 85%なので 35-25=10度の差のうち15%だけが影響を受けますから、入ってくる空気が1.5度上昇します。
湿度は、75%交換されるので、27.7-13.8=13.9g/立米のうち25%が入ってきます。つまり、約7gの水蒸気が入ってくる事になります・
つまり、室内に供給される空気は、26.5度で絶対湿度が 20.8g/立米となって、相対湿度がおおよそ82%程度の空気が計算上入ってくる事になります。
外気をそのまま投入すると、28度ぐらいで結露するぐらいの超多湿の空気になるので、熱交換型換気システムは除湿をしているといっても過言ではありません。
冬の温度と湿度の変化
冬の場合はどうなるでしょうか。
屋内 22度 相対湿度50% 絶対湿度 9.7g/立米
屋外 05度 相対湿度30% 絶対湿度 2.0g/立米
こんな感じでしょうか。
温度 22-5=17度のうち15%影響を受けるので2.5度だけ下がります。つまり吸気温度は、19.5度になる訳です。
湿度は、9.7-2.0=7.7g/立米になりますので、25%だけ影響を受けるとすると1.9g/立米程度下がることになります。
そのため、給気の温度と湿度はこうなります。
19.5度 絶対湿度8.8g/立米 これは相対湿度52%程度になりますので、湿度に関してはほとんど変化がないということになります。
つまり、熱交換型換気システムでは加湿をしているといってもいいのです。
まとめ
熱交換型換気システムは、室温を下げないだけではなく湿度も維持する方向に働きます。
どちらかといえば、真冬は相対湿度をほとんど変えずに、屋内の保湿にいい影響を与えて、真夏は室温を下げない効果の方が大きいので、なるべく安定した室内環境が欲しい建物にはとてもいいシステムだと思います。
100万円以上するようなシステムではなく、なるべく安い機器を導入して下さい。とにかく、機器の単価が20万円を切るような製品を選んで貰えると、全てのお客様に選んで貰えるし、標準化することも可能なんじゃないかなと思います。
お客様に得して貰うと考えると入れることをお勧めするユニットです。ただし、断熱等級6以上で無いとそれほど意味が無いと思いますけれども。
高い熱交換型換気システムはオプションで良いと思いますので、なるべく安い機器を標準で入れてくださいね。
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