積水ハウスの価格を研究
おはようございます。
MX代表のみなとです。
今日も、毎日のブログを書いていきます
工務店の皆さんの力になったら良いなと思って書いています。
《《《2023年6月16日 エコ住宅をつくる中小工務店のためのブログ第231号》》
大手ハウスメーカーの粗利率が50%ぐらいというのは通説で、10年以上前からそう言われています。
ですが、それを誰も数字に落とし込んで検証したことがないみたいですね。
ググると色々出てきますが、ここに書いてある細かい表現にまで言及しているブログは見当たりません。
ということでけっこう真面目に検討してみました。といっても、これが正しい検証なのかは自信がありませんが。
結論から見ると全然的外れだとは思いません。とにかく、あくまで公開情報からの検討だと思っていただければと思います。
なお、僕自身の背景は、食品機械メーカーのサービスエンジニアとして7年。鉄鋼商社で、HDDや半導体関連の装置販売が11年あります。
つまり、主に機械畑で20年近く過ごしていて、その後住宅業界に入ってきています。
メーカー時代の原価率は50%以上ありました。製造業者が利益を50%ぐらい取っていないとやってられません。
開発も製造も設計もなにもかも全部自社でやっているわけですから、それは必然です。
鉄鋼商社の場合は、鉄などは1%以下の利益率でもやっていましたし、機械は3~30%ぐらいの利益率だったと思います。今は知りませんが。
これは商品の特性、ポジショニング、反復するのかしないのか?原料なのか、製造機械なのか?によって全然異なります。
また、当社には建築士は在籍していますが、僕自身は有資格者ではありません。ただ、工務店さんのコストダウンのお手伝いはよくしていましたが、大手ハウスメーカーの原価の中身はわかりません。
ただ、木製建具が1枚いくらで、サッシが1本いくらかの常識はあるつもりです。
当然ですが、積水ハウスに関しては、全くご縁が無くて社内の人も一人も知りません、本社にも足を踏み入れたことはありません。
ですから、もし当たっていたとしてもたまたまですし、外れていたら当たり前ではあります。
つまり、数字に関しては、IRに表現されている数字以外は、当方の感触に過ぎないということを冒頭にお伝えしておきます。
積水ハウスのIR
積水ハウスは、上場企業ですので売り上げ、利益などは公開されています。
今回は2023年の3月に公開されたデータを使って、価格の研究をしてみました。
積水ハウスさんがサッシをいくらで買っているか?はもちろんわかりませんが、建物全体で考えるとなんとなく見えてくるものがありますね。
では、楽しんでみてください。
この公開データから類推していきます。
2022年度 売上、利益
総売上 29,288億円
営業利益 2,614億円( 8.9%)
経常利益 2,572億円( 8.8%)
年間におよそ3兆円!営業利益9%、経常利益9%は凄く立派ですね。売上もそうですが、利益率は足下にも及ばないです。素晴らしい会社だと思います。経営陣は優秀なんですね。
このうち、戸建住宅の部門の数字も公開されていま。
2022年度 戸建住宅事業 売上、利益率
売上総利益率 22.8%
売上 4,764億円
営業利益 414億円( 8.7%)
つまり、住宅の粗利率が22.8%でしたと、公開されたIRでは言っていることになります。
積水ハウスの建物
積水ハウスの場合は、住宅建設は自社で行っていません。これは、積水ハウス社内に大工がいたり、基礎等の職人がいないということになります。
構図的は,下記のような流れになっています。
お客様 ⇒ 積水ハウス(戸建住宅事業) ⇒ 積水ハウス建設(旧積和建設)(賃貸・事業用建物事業) ⇒ 地方工務店 ⇒ 各施工職人
この中で、積水ハウスの注文住宅の粗利率(戸建て住宅事業)が、22.8%です。ここでのIRの表現は、積水ハウスの営業部門のものです。
IR中に戸建住宅事業 注文住宅・分譲住宅(外構含む)の販売
と書かれているので明らかです。
つまり、積水ハウスさんの場合は、販売での粗利率が、22.8%だといっています。
これは、例えば商社が完成された機械を売る時の粗利率と同じです。
この商品である住宅を建設して商品にするのは。積水ハウスの部門の責任ではないのです。
なお、賃貸事業用の建物事業部門の場合は、賃貸・事業用建物事業 賃貸住宅(シャーメゾン)、商業・オフィス用建築物等(外構含む)の請負・販売とあります。
この場合は建設が含まれています。
では、注文住宅の建設は、誰がやっていて、利益率はどのぐらいなのでしょうか?
それを請け負っているのが、積和建設と呼ばれる建設部隊のようです。今は、積水ハウス建設となっています。
決算は連結決算と個別の決算があるのですが、この参考にしているのは連結された全体の決算だと思います。普通は、親会社、子会社という感じで親子関係にすると連結になると利益は相殺されるのです。
積水ハウスさんの場合は、販売部門と建築部門が分かれているので、それぞれに20%以上の利益が取られているという点に気がつかないと、単純にこの総利益をみて、粗利率が20%台と勘違いしてしまいますね。
現在は、IR中には『建築・土木事業』というのがあって、 在来工法建築物の設計・施工が含まれています。これが、賃貸住宅や商業施設などの建設だけをしているのかなと思ったら、小さい文字で『積水ハウス請負の部分を【賃貸・事業用建物事業】に変更』と書かれています。
で、積水ハウスの請負部門の詳細の利益率はわかりません。
だたし。この【清湯・事業用の建物事業部門】の2022年度の売上、利益はこうなっています。
2022年度 賃貸・事業用の建物事業部門の売上、利益
売上 744億円
売上総利益 24.4%
営業利益 14.7%
この中で、積水ハウスと賃貸用のシャーメゾン、更に事業用物件のそれぞれの内訳までは出ていないのでなんともいえないのですが、平均を採用したいと思います。それが、24.4%ですね、これには、賃貸住宅、商業施設等以外に、積水ハウスの建設部門の利益も含まれています。
積水ハウスの建設部門の粗利率は、わからないので、この平均を積水ハウスの建設時粗利率だと仮定してみます。
すると、
積水ハウスの原価
例えば、お客様への販売価格が4500万円の住宅が有ったとします。土地は含まない価格です。外構が入っているかどうかとか細かい事は抜きです。
IRによると積水ハウスの営業粗利は、22.8%ですから、積水ハウスの販売部門は、請負部門から3,474万円で建物を仕入れることになります。
更に、請負を担当している部署は、売上総利益が24.4%あるので、2,626万円で下請けに発注している事になります。
積水ハウスグループの場合は、ここに大工やクロス職人がいるわけではないので、下請けの工務店が管理を行って15%前後の収益を得ているとすると、2,230万円ぐらいがそれぞれの仕事の受注額の合計ということになります。
つまり、一般工務店レベルでは実行予算といわれているものが、2,230万円ということになります。
まとめると、販売価格4,500万円 ⇒ 営業部隊の原価 3,474万円 請負部隊の原価 2,626万円 ⇒ 下請け工務店の実行 2,230万円となります。
これであれば、積水ハウスの住宅がどうしてあんなに高いのか?工務店の販売価格との乖離がなんとなく理解できました。いくらいい材料を使っているからといっても、いくら何でも高すぎると思っていました。
工務店の常識として50%ぐらいが積水ハウスの原価だというのは、凄く大きくいえば、間違っていなかったことになります。
実行予算2230万円、販売価格が4500万円、総合粗利率の50%の流れはご理解いただけたでしょうか。
非常に荒っぽい推論ではあります。社内の細かい数字が外からはもちろんわからないのでどうしても粗っぽくなります。
ですから、これは断定しているわけでは無くて、IR情報と業界の慣例からはこう読めるんですけどという、当社の見解です。もし間違っていたら、いつでもご指摘いただければ訂正したり、削除もいたしますので、ご連絡くださいませ。
上場企業に在籍していた経験があるので、どうやって社内の秘密を隠さずに、IR情報を作り上げるか?という思考回路がなんとなくわかります。
僕も中期計画を何度も作ったことがあるので、それがどうやって部門全体の計画になって、更に全社の計画になるのか?発表するときにどうなっているのか?なんかを身を持って体験しましたからね。
機会があればまた他社も研究もやってみたいです。
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