外壁が黒か白かの問題 後編
おはようございます。
MX代表のみなとです。
今日も、毎日のブログを書いていきます
工務店の皆さんの力になったら良いなと思って書いています。
《《《2023年8月14日 エコ住宅をつくる中小工務店のためのブログ第288号》
ボルツマン定数という数値があります。
それを使ってこんな問題が解かされています。
太陽エネルギー(1kW/m2)が黒体面の屋根(4m×8m)に降り注いでいるも のとする。屋根温度が 80℃のとき,正味として,屋根が受け取るエネルギー 量はいくらか。
ここで,対流による放熱が無視できるものとする。 (ヒント: 屋根へ入射するエネルギーと屋根から放射されるエネルギーを 考える。)
答えは、こんな感じです。
つまり受け取るエネルギーと反射するエネルギーの差が屋根に含まれるエネルギーになります。
放射エネルギーI(ボルツマン定数x絶対温度の4乗)
I=ρT^4=5.67×10^-8 × (273.15+80)^4 (W/m2) = 882 (W/m^2)
照射エネルギーH H=1,000 (W/m^2)
受取エネルギーR R=( H – I )× 32平米 =(1,000 – 882)×32 = 3,776(W)
ρ:ボルツマン定数 5.67×10^-8 (W/m^2/K^4)
温度が高い方が受け取るエネルギーは小さい
つまり、温度の高い物体の方が受け取るエネルギーが小さいことになります。
以下のブログに物体の温度とエネルギーの関係が書かれています。
ですが、現実問題として物質の色と温度には相関がありそうです。
色々探しましたが、このステファン・ボルツマンの法則だけでは、物体の色と温度の関係を正確に表せそうにない事が解ってきました。
そのために、こんな実験をした論文があります。
この論文では、赤外線ランプで様々な色の試験体の温度上昇を測定しています。
結論から言えば、ステファン・ボルツマンの法則だけでは無く、物体の放率にも温度は関わっているようです。
実験結果は、このようなグラフに示されています。
データ的に試験体の明度と温度上昇の相関はこうなっています。
つまり、反射率が90%と高いと温度上昇が40度台なのに対して、10%と漆黒に近くなると67度を越える温度上昇がありました。
これは実態の建物の温度に近い温度が得られています。
この結論から言えば、夏には黒い建物は良くないとなりますが、実は冬はエネルギーが少しでも欲しいので、黒の方が良いのでちょっと悩ましいのですが、実際にはどの程度の影響差があるか、断熱性能との関係も大いにあります。
当然ですが断熱等級が良いほうが外乱の影響を受けにくくなります。
断熱等級6になりと、熱の伝わり方(UA値)は0.46w/m2Kになります。これは、表面温度が1度差の場合、平米あたりに入ってくるエネルギーの係数ですが、こうなります。
外壁の温度 65度 室内 27度 温度差38度 平米あたりのエネルギー 17.48w
外壁の温度 45度 室内 27度 温度差18度 平米あたりのエネルギー 8.28w
つまり、外壁が黒いと平米あたり平均で9w程度のエネルギーが入ってくる掲載になりますが、壁高が2.5mで室内が4mx6mだとすると壁面の面積(床を除く)は74平米になります、この前面から入ってくるエネルギーは670w程度ですから、吐き出し窓1ヶ書から張ってくるエネルギーと同じか、それよりも小さいです。
これが断熱等級4でUA値が0.87W/m2Kだとおよそ2倍になりますが、断熱等級6程度であれば充分にエアコンで排熱できますし室内に及ぼす影響は軽微かなと思います。
ステファン・ボルツマンの法則はあまり使いませんでしたが、外壁の色による温度変化という物理現象は、簡単かなと思いましたが意外に奥が深くてびっくりしています。
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