改正省エネ法のポイント
再生省エネ法の目的
改正省エネ法の目的は、現在既に最高の省エネを行っている工場やオフィスビルなどの
産業建築物レベルまで、住宅の省エネレベルを上げること、
そしてそれを国全体として意識づけることにあります。
そして結果的に、左の図にある部分の、一般家庭の省エネを進めて、
CO2排出量を減らすことが、最大の目的です。
地球温暖化は、待ったなしの状況のようですね。
得に原発が停まっているので化石燃料がどんどん消費されているのが現状で、
電力会社の収益も真っ赤ですが、CO2排出量もすごく増えているということです。
改正省エネ法の実際の内容
この省エネという目的を踏まえて、
まずは家庭の省エネの枠組みを決めようというのが今回改正内容です。
家庭の省エネを断熱強化+機器の高性能化で行おうというものです。
トップランナー基準などと同じく、一次エネルギー消費量も基本的に決まっております。
その他に、断熱強化は外皮性能ということになりますし、
現在のⅣ地域以西の夏に関しては日射取得率という言葉も基準に登場いたしました。
ただ、この日射取得率というのは窓と窓の関係する部分の性能ということになります。
つまりは、一次エネルギー消費量、外皮性能、日射取得率を
それぞれの物件ごとに計算し表示する必要があるということになります。
そして、一次エネルギー消費量を計算できない、外皮性能を計算できない、
日射取得率のことが解らない工務店や設計士には退場いただくというのが、
今回の施策の裏のポイントでもあります。
国土交通省としては、1年半も移行期間を設けているのだから、
きちんと準備してくださいということのようです。
ちなみに、CW断熱では、この移行期間の間に断熱材としての型式認定を受けて、
CW断熱を施した家に関しては各物件の外皮性能を計算しなくてもよいように準備を進めております。
また、一次エネルギー消費量を簡単に掲載できるソフトも準備いたしました。
最終的に許可が下りた時点で改めてご連絡させていただきます。
旧法での認可は、今年の9~10月になる予定です。
一次エネルギー消費量
これは、電気の場合は、実際の住宅で消費されるエネルギーと送電ロスの合計になります。
ガスや灯油の場合は、そこで使われるエネルギーが一次エネルギーとしてカウントされます。
下の図にある通り、住宅に関しては、
空調(冷暖房)+換気+照明+給湯が消費されるエネルギーとなり、
太陽光やエネファームなどがエネルギーの創出という部分になります。
この4つの項目の中で、給湯と空調が大きな割合を占めます。
ちなみに、空調の場合は、一般的な住宅で暖房80%、冷房20%ぐらいの割合で
エネルギーを消費していますので、住宅の冬対策は必ず必要と言うことになります。
念のため触れておきますと、冷房で最も高性能なものは現在のところエアコンです。
また、暖房では、薪ストーブ(含むペレットストーブ)が最も高性能で、
次がエアコンということになっています。
薪の場合は、燃料である木材が二酸化炭素を吸収しており、
さらに化石燃料を一切使わない器具のため、エネルギーロスがゼロ、
という計算になっているようです。
給湯では、これも通常の給湯器よりもエコジョーズやエネファームが高効率とされています。
新型のエアコンと列んでこれらの効率がいいのはヒートポンプという機器が搭載されており、
温度差を機械エネルギーに変えられるという科学のマジックを使っているからです。
外皮性能と日射取得率
今まで使っていたQ値というのは、どちらかといえば、建物が大きくなると
断熱性能に比べて有利になり、建物が小さくなると不利になるという弊害がありました。
これは、性能値を表すのに床面積を使って計算していたからです。
今回の改正で、欧米ですでに一般に使われているU値というものに置き換わります。
これは、建物の断熱性能を表面積で割り戻した値となります。
断熱性能そのものは、今回の法改正ではあまり変わっていません。
ただ、方針としては、今後現在の次世代省エネ基準(温熱等級4等級)を
将来標準にするとハッキリ唱われた点にあります。
今は、このままでもいいけれど2020年(あとたった6年後)までには、
次世代省エネ基準ぐらいはクリアしなさいというわけです。
これは、大きな変革を住宅に生み出します。
今まではコストを抑えてグラスウールで対応していた住宅が、
2020年までには、グラスウールを入れるのであれは高性能16K(24K相当)を
90mm以上と義務づけられてしまうのです。
また窓も、現行では、熱貫流率が4程度で良しとしていたものを、
今後は2.5程度を目指す動きになると思われます。
ちなみに、基準が違いますが欧州では国の最低基準が1.0という国もあります。
(フィンランド1.0.ドイツ1.3、フランス2.1など)
また、中国や韓国では既に国の最低基準が2.5です。
日本の窓は、デュオPGで、2.8前後、エピソード、マディオJで2.4と、
中国・韓国基準はクリアしておりますが、欧州基準には及びません(パッシブハウスジャパン調べ)。
改正省エネ法では、各部位の熱貫流率を面積とともに計算して外周部分で割り戻す値を、
すべての住宅で算出して添付することを求められています。
そのためのソフトなども無償で提供されていますが、まあ面倒くさい事この上ないです。
下記にその基準値を載せておきますが、現在のⅣ地域Q値2.7というのが、
U値0.87に変わりますが、断熱材の厚さ等は全く同じで問題ありません。
弊社としては、CWを使った上で、この仕様で建物をつくっていただければ、
この計算を免除できる、という型式認定を所得しようと書類を作成しております。
まずは、現行法に当てはめた仕様を作った上で、改正省エネ法適応時に、
切り替えに対応できる手順で進めております。
何が良くなるとかと言えば、長期優良住宅や低炭素住宅などに、
CW断熱工法(長期優良タイプ)で建てていますと認定書を添付していただくだけで、
断熱基準は通るというわけです。
詳しくは、改めて説明会を予定しております。