熱の伝わり方の基本 3つ 対流、伝導、輻射
こんにちは。
今日もご覧いただきありがとうございます。
株式会社MXエンジニアリングの湊です。
さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。
《《《2021年9月19日の断熱ブログ第72号》》》
熱の伝わり方の基本
まず、物理現象というのは、ほぼその通りになります。
以前も書きましたが、露点になったら結露します。
みたいに、こうなったら必ずこうなるみたいな因果関係にあります。
例えば、エントロピー増大の法則というのがあります。
これは、エネルギーというのは、高いところから、低いところに移動するという事になります。
最近のひも理論と呼ばれる、量子物理学の世界では想定外の事が起こる現象が解明されていますが、ニュートン力学と呼ばれる、古典物理の世界では、こうなったらこうなるみたいに現象として決まっているのです。
◆熱の伝わり方 3種類
次に、熱の伝わり方ですが、これも3つしかありません。
それが、対流と伝導、さらに輻射の3つです。
対流というのは、空気などの気体や水などの液体が、実際に動く事で熱を伝える事をいいます。
この対流では、あたたかい空気は軽くなるので上に行き、そこで冷やされた空気は、重くなるので下に下がっていきます。
この対流が冬に身体で感じるぐらいの、きちんとした気流を起こすと、コールドドラフトという現象が起きます。
これは、窓面で冷やされた空気が窓の下の方向に流れていく現象で、コールドドラフトが起こると窓は閉まっているのに、窓から冷たい空気の流れを感じる事があります。
伝導熱とは
伝導は、固体同士の接触によって伝わる熱です。
断熱材は、主にこの伝導熱に効きます。
昨日書いたこの記事は、伝導熱と輻射熱をきちんと切り分けずにあえて書いていました。
冬には、対流や冷輻射になどによって、建物外部の熱が奪われます。
そうすると温かい屋内の熱が壁経由で外に出て行きます。
これを人間は冷気が入り込むという良い方をしますね。
冒頭の熱エネルギーは、高いところから低いところに移動すると言うのが物理法則なので、現実には、屋内の温めた熱が外気に奪われるというのが正しい現象になります。
そして、その熱の伝わり方のスピードが断熱材の熱伝導率という数値になるわけですね。
その単位は、w/mKということで、移動エネルギーの量という事になります。
輻射熱は遠くから
そして、熱の伝わり方で一番直感的にわかりにくいのは、この輻射熱です。
というのは、伝導熱は触れば実感できますし、対流熱はコールドドラフトなどや、エアコンなどは積極的に対流熱を使っている訳です。
ところが、輻射熱は赤外線が絡んでくるので見えません。
ただ、こたつの中に足を入れたりするとその瞬間ポカポカしたり、昔ながらの石油ストーブなんかも輻射熱を使っていました。
赤外線が飛んできて熱を伝える事を輻射熱と言います。
先日から書いている、太陽定数というのは、太陽からやってくるエネルギーなんですが、これは輻射熱です。
太陽は真空中の宇宙にありますから、地球上に熱を運ぶのは100%輻射熱になるわけです。
太陽からの熱は輻射熱で地球に届いて、地面や海を温めて、その地面や海が、空気を暖めた対流を作ります。地面から地中や、屋根や壁から構造体に熱を伝導熱で伝えていくということで、熱の大本は、この輻射熱であると言っても過言ではありません。
冷輻射というのは、この逆の現象で、住宅や地表から宇宙に向かって輻射熱を届けている現象をいいます。
冬の晴れた日は、大気が非常に温度が低いので,温かい屋根からエネルギーが赤外線という形でどんどん奪われます。
この現象はあたかも,冷たいエネルギーが降り注いでいるかのように見える事から冷輻射と呼んでいます。
ですから、温度差があるときには、赤外線が出ていきます。
夏はこんな風になります。屋根や壁は太陽からの輻射熱で暖められます。その暖められた物質も輻射熱を周囲に送ります。それが通気層の反対側にある壁や屋根の部材を暖めて、その熱が伝導熱で建物に入ってきます。
建物の外装にアルミシートがあるとこの輻射熱を押さえるので、夏の屋内の温度が上がるのを遅らせる事ができます。
これがアルミシートの効果です。
ですから、アルミシートがあると夏は室温が少し低めになります。
ところが、冬はアルミシート自体も輻射熱を出しますので、温度の低下ではアルミシートの有り無しだと大きな差ができません。
そのため、アルミシートは夏対策といっても過言では無いでしょう。冬は明らかな差は生まれにくいと思いますし、大学の実験データでもアルミシートの有り無しで有意の差は観察できていません。
これは遮熱塗料でも同じです。
また、遮熱塗料が2年目、3年目とどんどん効かなくなっていくのは、表面が汚れて輻射熱の反射率がどんどん落ちて行くからですね。ですので、毎年夏前にきちんと洗浄すれば良いのですが、そこまではやらないでしょう。
ですから、一時期大はやりした遮熱塗料は一気に下火になってしまったというわけです。
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