あなたの家はお客様に損をさせる低断熱になっていませんか?

最近、高断熱、エコ住宅が工務店業界でも、これから家づくりをするお客様の間にも話題になっています。

これまでも、いい家を建ててきた工務店様は熱心に超高断熱住宅、エコ住宅、北海道仕様の住宅などと外皮性能(断熱性能)の向上に励んでおられます。

しなしながら、まだおよそ半数の工務店様は、温熱等級4の住宅で十分だとおっしゃる方も少なくありません。未だに4等級以下の住宅も散見されるのが現状だと思います。

これは、4等級の住宅を建てている皆さんの常識かもしれませんが、お客様にとっては非常識になりつつあります。

4等級以下の住宅は、お客様が損をします。温熱等級4以下の低断熱の住宅はお客様に3つの損を強いているのです。その3つとは、具体的にどんな損をするかをみていきましょう。

1. 今後30年以上にわたって損
2. 10年後は確実に時代遅れになって損
3. お客様が老後病気になるから損

それぞれを見ていきたいと思います。

1. 今後30年以上にわたって損

これは、光熱費+建築費用を考えたときに、きちんとシミュレーションをすると直ぐ解る問題です。

残念ながら8割以上の工務店様はご自身が建てた家の冷暖房費のシミュレーションができません。当社で断熱施工をしていただければ希望に応じて、このシミュレーションを全棟つけています。

新潟県上越市(5地域)の建物の例です。

4LDKの建物で、4等級(UA値0.87)とHEAT20のG1(0.48)、G2(0.34) の冷暖房費を比較してみました。結果は以下の通りです。

4等級¥147,118/年(¥12,260/月)
G1 ¥55,182/年(¥ 4,600/月)
G2 ¥30,311/年(¥ 2,530/月)

4等級に比べG1なら1ヵ月あたり¥7,660 の差額
G2なら1ヵ月あたり¥9,730 の差額

光熱費は、このほかに給湯費、照明・家電費、炊事などになりますが、これらの項目は断熱性能によって大きく変わりません。つまり、冷暖房費のみにが断熱性能に依存することになるわけです。

4等級から、G1にするだけで光熱費は月額7.5千円以上、G2にすると9.5千円以上安くなります。

これに対して、建設費用はおおよそ下記の通りではないでしょうか?

4等級⇒HEAT20G1 約100万円
4等級⇒HEAT20G2 約250万円

それぞれの住宅ローンの支払いの差額は、おおよそ3千円と、7.5千円です。

つまり、4等級にしようと思っていた方が、後100万円払ってHEAT20のG1にすれば、4.5千円以上のコストダウン、HEAT20のG2にすれば、2千円以上のコストダウンにつながります。

これを見ると一見、HEAT20のG1の方が、G2よりも良いように感じるかもしれませんが、これから先の話を聞いていただければ印象が変わるかもしれません。

2.10年後は確実に時代遅れになっている件

多くの住宅会社も、これから家を建てる方も皆さん注目しているのが、ZEHなどのエコ住宅への住宅行政です。

この住宅行政は、現在よりもどんどんエコ住宅を建てさせる方向に舵が切られています。

これは、2020年に菅首相が、2050年までには『カーボンニュートラル』を達成すると宣言したことに始まります。

カーボンニュートラルというのは、日本全体として、実質的にCO2の排出量をゼロにするというものです。

このためには、現在日本全体でCO2排出量で家庭の割合がおよそ15%で過去20年間では、オフィスと家庭のCO2の排出量が一貫して伸びているため、この2つの部門を中心にさらなるエネルギー対策とCO2の発生削減が求められているからなのです。
環境:国土交通省における地球温暖化対策について【概要】 – 国土交通省 (mlit.go.jp)

日本住宅は国際的に見ても非常に低い性能で放置されてきました。これは、国土交通省の政策で、どちらかといえば作り手保護の意味が強かったようです。

しかしながら消費者としては、アメリカやドイツはともかく、中国や韓国に比べて著しく低い住宅が、特段の規制もなくどんどん供給されている現状は問題があります。

カーボンニュートラルの宣言以降、国土交通省が基準選定に動いており、温熱等級4の義務化が決まりそうです。また、更に上位の性能の住宅の義務化並びに、建物の温熱への意識をつける方向で動いています。

つまり、今後2~3年で建物の性能が義務化されて、更に上位の性能の住宅が取引されるようになるのは明らかです。

ということで、工務店の皆さんも、一般ユーザーのユーザーも今後はHEAT20 という組織が定めるG1が最低水準として定着する可能性があります。それが最低水準ですので、流通する住宅は更に行為になる事が考えられます。

是非とも時代に遅れない様な住宅を建てていただいて、お客様からなんで教えてくれなかったの?といわれないようにして欲しいと思います。

3。お客様が病気になるから損

3つめは、最近よく耳にするあれです。

ヒートショックというやつですね。この本来の意味は、温かい部屋から急に寒い部屋に行って心臓を含む臓器がびっくりすることを言います。

脳血管が切れると脳溢血、くも膜下出血など重大な問題を起こしますし、心不全の原因がヒートショックということもよく聞く話です。

それから、消費者庁により平成20年代から毎年出されているのが、『冬季に多発する高齢者の入浴中の事故にご注意下さい』というものです。

2020年の11月に出た最新のデータではこのようになっています。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_042/assets/consumer_safety_cms204_20201119_02.pdf

保育園、幼稚園が寒くて、自宅も寒い場合は、どちらも温かい場合に比べて病欠率が2.6倍と顕著になっています。どちらかが寒いだけでも1.6倍となって、子供も家も幼稚園も暖かいと活発で運動能力も高い子供に育ちますし、ご両親も突然仕事を休むことが減って、快適な冬を過ごせます。

見ていただけばおわかりだと思いますが、交通事故死者数のおよそ2倍の老人が家庭内で溺死しており、この数字が増えてきそうな雰囲気になっています。これな年間の数字ですのでコロナウイルスで亡くなるよりも、お風呂で溺死している方の方が多いということになりますう。

低室温が原因で、最近の発表ではこれはヒートショックで無く、熱中症では無いかという調査結果も週刊誌などで報道されています。
(週刊新潮 2020年12月24日号『年間2万人 風呂場の急死は「ヒートショック」では無かった!』参照 笹井恵里子著)

さらには、子供の不調の主な原因も、冬の寒い室温では無いか?といわれています。日本の子供ですが、住宅が寒くて、風邪を引いたり、気管支炎になったり、最悪喘息になってしまう主な原因が、湿度と温度が原因では無いかといわれているのです。
https://alle-net.com/allergy/zensoku/sensoku01/(アレルギー支援ネットワークより)

この図を見ると解りますが、夏と冬の温度差は古い木造だと最大で23度程度あります。例えば、真夏は30度、冬場は7度とかそんな感じでしょうか。

暑すぎる、寒すぎるというのは身体大きな負担がかかります。睡眠の質にも大きく影響してきます。

夏冬の温度差が小さい住宅で、適度に加湿するのが一番身体に良いのです。特に小さい子供、お年寄りなど不調が原因で体調を崩しやすい方々は、より温度変化の少ない住宅で生活をさせてあげたいと思いますう。

温かい家は、どっちに転んでもお客様は一切損をしません。是非とも、温かい住宅を建てて欲しいと思います。

Posted by 湊 洋一