断熱とエネルギーの関係に迫る!《冷暖房負荷編》
題号:断熱とエネルギーの関係に迫る!《冷暖房負荷編》
こんにちは。
今日もご覧いただきありがとうございます。
株式会社MXエンジニアリングの湊です。
さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。
2021年7月16日の断熱ブログ11号目
断熱とエネルギーの関係についてお伝えします。今日は2回目です。冷暖房負荷についてしっかりとお伝えしたいと思います。ちょっと難しいかも。付いてきてくれると嬉しいです。
良かったら前の号からおよみください。
前号では工務店が住宅でコントロールできる要素は、冷暖房費用と換気費用ぐらいということをお伝えしました。
それ以外の照明・調理はお客様のライフスタイルで変わりますし、給湯は給湯器の選定が全てです。実は給湯に関してはさらなる省エネの小さな秘策はあるのですが、それよりも冷暖房、特に暖房費用の割合が大きくて建物の性能向上=冷暖房費の削減ということになります。
冷暖房費と冷暖房負荷
冷暖房費を算出するための指標として、絶対に必要なのが、建物の冷暖房負荷です。
冷暖房負荷をとても簡単にお伝えすると、建物にどのぐらいのエネルギーを投入すると、狙った室温にできるか?ということを計算するため根拠になります。
例えば、年間冷暖房負荷が460MJ/m2・年という形で算出されます。(ちなみに、これは6地域の4等級の場合の標準値になります。)
単位を見て貰えれば解りますが、J(ジュール)というエネルギーの単位になっています。これをkwhに直さないとエアコンの機器選定に使えません。
ちなみにJの前のMは、メガと読んで100万倍の意味です。FMラジオなんかでは周波数が80.5MHzなんかで書かれていますよね。あれも100万という意味です。
因みに、kwのkはキロですよね。100kgとかのkと同じです。こちらは1000倍という意味ですね。
順番でいえばk=1000倍、M=100万倍、G=10億倍という感じですね。最近は、PCの応答速度が速くなってクロック数がGHzと書かれていたり、光回線の伝送スピードが2Gbpsとか表現されています。bpsはビットパーセカンドで、1秒間に遅れるデータ量です。
普段はぼーっとしていますが、根っからの理系なので、こんな単位にいちいち着目してしまいます。
話を元に戻すと、まず単位の換算をしないといけません。ジュールをわかりやすいkwhの単位に変えないといけません。計算式はとても単純ですが
1kwh=3.6MJ です。
つまり、年間の冷暖房負荷が460MJ/平米・年と算出された建物は、127.8kwh/平米・年となります。
だいたい120平米ぐらいの住宅での年間冷暖房負荷は、15,336kwh/年ということになります。
これは、建物の年間の冷暖房負荷になります。
1年は365日、24時間ですから、時間あたりに直すとこれを8,760時間で割ると算出できます。
時間あたりに直すと1.75kwh/時ということになります。
なんだか小さい値に感じますが、これが年間の平均値ですので、2kwh近いエアコンを1年中回し続けるということを意味します。
これは実はかなり大きな数字でして、120平米の住宅を1年間2kwhのエアコンを365日、24時間動かすと、現在の1kwhあたりの電気代は28円ぐらいですので、年間の冷暖房だけの電気代が49万円になってしまいます。
これに、家電、調理、照明、給湯が加わるわけですから現実的ではありませんね。
実際に建物にあったエアコン選定には別のアプローチが必要です。
実際のエアコン選定
では、実際のエアコンの選定はどのようにすれば良いでしょうか。
松尾設計室の松尾先生が下記のように、書かれています。
まずは、暖房ですが
必要暖房能力 = (Q値 + C値/10) x その部屋の面積 x (設定室温 – その地域の年間最低温度)
なおQ値というのは、今の建物では使っていない数値です。現在は、UA値を使いますが、Q値は換気システムの性能を内包していたので、必要冷暖房能力を算出するのにとても便利な数値でした。
そのため、10年以上前から熱負荷の計算を頻繁にされていた方は、Q値がなじみ深いようですね。
例えば、数年前までよく使っていた数値を思い出すと、4等級だと、Q値=2.7w/㎡Kという値でした。
C値が0.5程度として、120平米の住宅で、設定室温が22度で最低外気温が0度だとすれば下記のようになります。
(2.7 w/平米・K+0.5/10)x120平米 x22度=7,260wh
これをkw表示に直すと7.26kwhとなります。つまり、2.5kwhのエアコンを3台あれば暖房が可能ということになります。
冷房負荷の計算も同様にすればいいわけですが、冷房の電気代は暖房に比べて小さいので、暖房器具の選定で、よほど夏に暑いところ以外は充分かなと思います。
考え方は、これでご理解いただけたと思うのですが、工務店さんは忙しいのでそんなことをいちいちやっていられないわけです。
そのために、間取りと仕様をいれれば簡単に冷暖房負荷を算出して、エアコンの台数、場所などを検討して、その結果として電気代のシミュレーションまでやってくれるうれしいですね。
そのためのソフトウエアは各種出ているので、後日そのあたりをご紹介したいと思います。
冷暖房費が変わる要因
そして、その冷暖房費が変わる要因ですが、とても沢山あるのですが、代表的な所を載せてみます。
明日は、この4つについてしっかり確認していきたいと思います。
なんだか、アカデミックな内容で恐縮ですが、当社は断熱のプロなのでこれぐらいのことを考えてしっかりやっていますよということはご理解いただきたいなと思います。
最近よくいわれます。意外にしっかりやっているんだね。ありがたい褒め言葉だと思って受け止めております。
明日もお楽しみに。
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