断熱材の選定ガイド 4日目

こんにちは。

今日もご覧いただきありがとうございます。

株式会社MXエンジニアリングの湊です。

さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。

《《《2021年10月7日の断熱ブログ第87号》

繊維系

グラスウール

ロックウール

羊毛断熱・ポリエステル断熱

セルロースファイバー

木質系・ウッドファイバー

ウレタン

100倍発泡ウレタン

50倍発泡ウレタン

30倍発泡ウレタン

断熱ボード

フェノールボード

ウレタンボード

ポリイソシアヌレートフォーム

ポリスチレンボード

断熱材の未来 VIP

ここでは付加断熱(外断熱)の話をする前に、余り語られない断熱材についてまとめておきます。

まず始めに、真空断熱材(VIP)です。

当社も頑張って取り扱っていたのが、真空断熱材(VIP)です。

真空断熱材

この新素材は、2012年ごろのBAUメッセで初めて実物を見ました。BAUメッセというのは、ドイツの建築建材展で,世界最大級の規模で行われています。

この時は、3社ぐらいの出展があったのですが、その後どんどん出展が減って前回のBAUメッセでは、とうとう1社になってしまいました。

欧州でも余り使われなくなっているようです。

構造はとても簡単で、アルミ蒸着したフイルムで、グラスウールやシリカを包んで真空に引くことで作られます。

熱の伝わり方のうち、伝導と対流は分子の運動が伝わって熱が移動するのですが、真空なのでこの2つの熱の伝わり方がほとんど起きなくなります。そのため、極端に高性能になるのが魅力ですね。

国内の冷蔵庫やエコキュートなどに使われているVIPでは、熱伝導率が0.001w/mK程度のものも生産されています。当社の場合は、0.0027w/mKという数値が建材試験センターの試験で出ています。

これでも、10Kのグラウスールの20倍の性能ですから、1cmの厚さで、200ミリのGWと同じ程度の性能ということになるわけです。

これだけ見れば夢の断熱材と期待されたのも解るでしょう。

問題点は単価です。

当社は平米4000円前後で販売していましたが、他社は平米1万円前後です。パナソニックなどの大手も扱っています。今は大手だと旭ファイバー硝子が扱っているはずです。

当社は引き合いそのものもないので結果的に開店休業状態です。また、サプライヤーが変わって単価が上がったので、基本的に積極的に販売していく意向が無くなってしまいました。

更に、悪いところは経年劣化ですね。

グラウスールを芯材に使われた場合は、15年で性能が半減します。これが、シリカになるとこの半分ぐらいになりますが、いずれにしても確実に劣化します。

冷蔵庫も、エコキュートも15年ぐらいしか使えないわけですが、住宅となると最低でも30年は性能を維持したいところです。

ということで、早くから経済産業省が断熱材としてJIS化を模索していましたが、動きが聞こえなくなってしまいました。

未来の断熱材エアロジェル

最近話題だったのが、エアロジェルです。

これはシリカを発泡させた材料でして、非常に高性能な材料です。

VIPほどでは無いですが、淡々ではくウレタンや,モルタルなどしっかりした材料に混ぜて使うと断熱性能が上がります。

イノアックというウレタン業者が、ウレタンに混ぜた結果、熱伝導が0.010w/mK程度と30倍発泡ウレタンの2倍の性能を示したということです。

当社は、スイスにこのエアロジェルをモルタルに混ぜた材料を壁に塗る工法を試験してみました。モルタルなのに熱伝導率が0.050w/mK程度の性能があるのですが、脆いのが問題ですね。

富士川建材も同様の断熱モルタルを販売しています。

問題は高価なことです。1kgあたりの単価が普通で3万円程度します。年間に数トン使うと2万円は切ると言うことですが、それでも高すぎます。

現在は、ドイツのキャボット社が世界で唯一連続生産ができるプラントを持っていますが、ここも安売りするつもりはなさそうです。

韓国メーカーや日本メーカーもありますが、性能はともかく生産がバッチ式で、一定量を釜で熱処理を行うので、価格が安定しません。

シリカが原料なので、原料そのものは高くないのですが、熱処理を行うのが価格アップする要因だそうです。

それこそNASAが開発に関わった夢の断熱材なだけに、数年後普及してくれたら良いなと思います。

断熱材普及の条件

この所、ネオマフォームの進撃が話題になっている断熱材ですが、断熱材はやはり平米2000円前後の壁があると感じています。

どんなに性能が良くても、断熱材だけで300万円もするとなかなか採用されません。

300万円でUA値が0.2前後になるのならともかく、UA値が0.3程度は本当に安く作れるようになっているので、現状ではこんな断熱材が有効なのかなと思っています。

充填用:グラウスール、100倍発泡ウレタン、ネオマフォーム

付加断熱用:グラウスール、EPS、ネオマフォーム

これ以外にもあると思いますが、この3種類に収斂して行くのかな?と思っています。

明日は,最後の外張り断熱のを書いていきます。

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Posted by 湊 洋一