断熱とエネルギーの関係に迫る!《超基礎編》
こんにちは。
今日もご覧いただきありがとうございます。
株式会社MXエンジニアリングの湊です。
さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。
では、2021年7月15日の断熱ブログ10号目いってみよう!
断熱とエネルギーの関係に迫る!《超基礎編》
断熱とエネルギーの関係について数回にわたってお伝えします。今日はその超基礎編です。
別記事にも書いているのですが、今後工務店で急速に要求されているのが光熱費のシミュレーションですね。
Twitterなんか見ていてもUA値がとか、G2がといっている素人さんがどんどん増えています。
どのぐらいの断熱にしたら、冷暖房費がどのぐらい上がるのか?
日射と冷暖房費の影響は?
実体験を元にレポートさせていただきたいと思いますが、まずは基本中の基本からです。
日本の家庭でのエネルギー使用
家庭で使うエネルギーの話をしたいのですが、エネルギー保存の法則って覚えていますか?中学か高校ぐらいで習うのでしょうか。
僕は大学が電気工学部だった上に、日本で唯一の原子炉を持っている私立大学に居たのですが、あまり勉強しませんでした。
でもエネルギー保存の法則は知っています。これは「外部から完全に遮断されている環境の内部のエネルギーの量は一定である」ということですね。
明日以降、この話が出てきます。
大学ではラプラス変換という演算処理で躓いてしまいました。
ちなみに、MIT(マサチューセッツ工科大学)では、入学前の課題にラプラス変換の課題があるそうです。
飛行機でアメリカを移動していたとき、たまたま横に座った日本人高校生がいて、その高校生が、『大学に行くんです。』というので、『どこに行くの?』と聞いたら『MITです。』といって、『これ難しいんです。』と言いながら入学前の宿題を見せてもらった記憶があります。
閑話休題
住宅のエネルギー使用量は地域差があります。
日本は広いので沖縄だと暖房費は小さい、けれども北海道の東部では冷房費は全然必要ないだろうなと想像つきますよね。
それをちょっと調べてみました。
これは、日本エネルギー研究所さんが発表している家庭のエネルギー使用実態を表にしてあります。
このデータは、当社が監修した書籍に収録されています。
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このグラフを見ると解りますが、日本の平均では1年間で使うエネルギーの一番大きい部分が暖房費で34%です。
北海道はなんと7割近くを暖房に使っている訳ですね。
そして、冷房費は平均ですが、なんとたった1.6%しかありません。
暖房費に次いで大きいのは給湯費です。
給湯器は工務店の皆さんのご尽力でエコキュートが普及してきているので、最近の住宅の給湯エネルギーはかなり小さくなってきていますね。
なお、給湯で一番エネルギーが大きいのが電気式の給湯器です。
海外では多いのですが、日本ではそれほど見かけません。
多いのはガスの給湯器ですが、それでもまだ古い電気温水器があるのでこれを撲滅するとかなりの省エネになるでしょう。
実際のシミュレーション例
そして、下記が当社でシミュレーションを行った水戸市でのデータです。
これは温熱等級4で建てた110平米ほどの住宅のシミュレーションになっています。
水戸市は、地域区分では5地域ですから、関東の中ではかなり寒いエリアです。
このグラフから見ると暖房費が40.5%にも達します。
冷房費が4.9%、給湯費が18.3%、照明、調理+換気が36.0%ですので、4等級の住宅で、5地域だと平均値よりも冷暖房費がかかるのが解りますね。
では、どうすれば良いでしょうか?
建物の断熱性能をUA値を0.42ぐらいにするとこうなります。
暖房費が26.0%、冷房費3.3%、給湯費29.0%、照明・調理+換気41.7%という形になります。
この金額の中身については上級編でもお伝えします。
ただ、断熱性能を上げると暖房費の割合がぐんと下がります。
4等級 ⇒ UA値0.42
暖房費 40.5% ⇒ 26.0%
これだけでも断熱性能を上げる価値はありそうですね。
省エネのために
この超基礎編でお伝えしたいのは、まずは照明・調理に関してはいえば、コントロールが難しいという点です。
特に照明に関しては。LED照明以上に節約しようとすると消す以外にないわけです。
調理に関しては煮炊きの時間は非常に短いので、そもそもそれほど大きなエネルギーは使わないです。
ただし、例えば電気オーブンを長時間使うとか、低温調理器などはかなりのエネルギーを使いますが、これって我々作り手がお客様の生活にとやかく言うことではないですからね。
家を建てる工務店がコントロールできるのは、主に冷暖房費と給湯費だけです。
今時、全ての照明はELDになっていると思いますから、照明はこれ以上の省エネルギーは難しいですね。
更に、上記のシミュレーションでは換気費が設けられています。
換気で熱回収を行う場合と行わない場合のシミュレーションも後日お伝えしたいなと思います。
まずは、断熱とエネルギーの関係で、断熱がどうなれば、どんな結果になるという話が行き着かなかったのですが、今日はこの辺で!
このコーナー続きますので、明日もお楽しみに。 メルマガは下記からお申し込み下さい。こちらも毎日書いています。(^_^;