断熱とエネルギーの関係に迫る!《4つの要因編》
こんにちは。
今日もご覧いただきありがとうございます。
株式会社MXエンジニアリングの湊です。
さて、今日も工務店を元気にする記事を書いていきたいと思います。
2021年7月17日の断熱ブログ第12号
断熱とエネルギーの関係についてお伝えします。今日は3回目です。
良かったら前の号からおよみください。
前号では冷暖房負荷のことを少々掘り下げました。そんなこと知らなくても良いですが、考え方ぐらいは知っておいた方が信頼感に厚みが増すというものです。
そして、冷暖房費用=冷暖簿負荷を変えるものに4つの要因があるとお伝えしました、今日はその要因についてしっかりお伝えしていきます。
冷暖房負荷を左右する4つの要因
その4つの要因が下記の通りです。これ以外に冷暖房負荷を左右する要因に換気がありますが、ホームズ君では、換気は別計算になっています。そのため換気だけで1本書けるかなと思っております。そのあたりはまた後日。
その4つとは、昨日も書きましたが下記の4つです。
- 断熱性能
- 日射
- 住人からの熱エネルギー
- 生活廃熱
◆断熱性能
まずは断熱性能です。これは外皮性能と専門家はいっております。文字通り建物の一番外側の壁をいいまして、構成要素としては、窓、壁、屋根、床(基礎)となっております。
これらはそれぞれのことを詳しく書いて行くと、多分それぞれに1万文字ぐらい書けるのですが、そこは本意では無いのでさらっと書いておきます。
a.窓
まずは、窓です。窓は日本では全く基準がないのですが、良心的な窓メーカーが勝手にどんどん高性能な窓作りにシフトしてきました。
特にエコな窓作りに熱心なのが、YKKAPさんです。以前はLIXILさんの方が圧倒的にシェアが大きかったのですが、エコな窓作りでシェアを逆転したともいわれています。ちょっと調べてみましたが、この2社の住宅用の窓のシェアはほとんど差が無いかもしれません。
そして、日本の窓の実態がこんな感じです。これはYKKAPさんが数年前にWEBで発表しているデータですが、上に行く方が高性能です。
つまり、海外は高性能な窓が標準になっていますが、日本は分譲、建売を中心にまだまだという状況が続いているというわけです。
窓に関しては、樹脂アルミ複合のサッシは、今は良いですが10年後にはもう使われていない技術になります。
なので、将来性、つまり住宅ローンが終わる35年後などを考えると、樹脂の複合とトリプルを組み合わせるのが良いのかなと思います。
樹脂窓のペアを大きなサイズの窓。小さなサイズはトリプルでも良いかもしれませんね。
窓から入ってくるエネルギー、出ていくエネルギーは建物全体のおおよそ半分と言われています。『窓を制するモノが断熱性能を制する』と言っても過言では無いと思います。
様々な会社の図面を見ているとパッシブできに考える人が少ないという印象ですが、日射のところでパッシブ的な窓の使い方をさらっと書いてみますね。
b. 壁
建物の面積で一番大きな面積が壁になります。そして、多くの工務店さんは、断熱といえば壁の断熱を指します。
UA値を上げるのであれば一番面積の広い壁の性能を上げるが一番ではありますが、まずは窓をしっかり対策して、次に壁の順番だと思います。
壁用の断熱材は、何がいいのか?とよく聞かれますが、同じ性能での材料の違いはあまりありません。ただし、厚さあたりの断熱性が材料によって大幅に違います。
これは、グラウウール、セルロースファイバー、100倍発泡ウレタンなどは熱伝導率が0.034前後ですから中断熱品、ネオマフォームなどのフエノールフォームや、ウレタンボード、30倍発泡のウレタンが0.022~0.020なので高断熱品とは言えるのかなとおもいます。(なお、熱伝導率の単位はW/m・Kです。ここでも熱のwが出てきます。)
もちろん価格的にはグラスウールの圧勝でしょう。
最近はUA値を0.4切るために、付加断熱(=外断熱)を行う会社も増えてきました。
因みに、当社のEX断熱はEPSと呼ばれるポリスチレンフォームの付加断熱になります。
c.屋根
屋根は、太陽からのエネルギーを一番受けるところです。そのため、本来は壁の最低でも1.5倍。できれば2倍の断熱性能が必要で宇s。
面積は壁に比べて小さいので厚くしても、それほど高い費用はかかりません。
ということで、屋根は厚めに断熱をしてください。
d. 床(基礎)
この部分が工務店さんによって一番差があるかもしれません。というのは最近は急速に基礎断熱が伸びているからです。
これは、基礎断熱にした方が外皮性能UA値を良くできたからです。今年に入って新しい基準になったため基礎断熱にするだけで性能が向上するということは一切無くなりました。
むしろ水平部分の断熱をケチるぐらいなら床断熱の方が性能が高いという現象が起きています。だいたい”行って来い”になるのが基礎断熱で水平部分1.5m程度断熱材を敷くと完全に基礎断熱の方が性能が良くなるようです。
多くの工務店さんがやられていた基礎の立ち上がりから910ミリぐらいではちょっとだけ床断熱の方が性能が良くなるかしれません。これも計算してみないとなんとも言えませんが。下記ソフトで計算が可能です。
◆日射
日射は皆さんよくご存じですよね。南面に大きな窓をつける。東西北面の3方向は大きな窓つけないということがパッシブ系の住宅を設計する基本になります。
どうしてか考えていきましょう。
先日来お話ししていますが、暖房費と冷房費の関係から明らかです。
住宅の光熱費は冬に高い傾向があるので、冬に家を温かくする事が光熱費を下げる基本になります。
そして、窓から入ってくるエネルギーですが、これが馬鹿にならないぐらいあるんです。
東大の前准教授の書籍『エコハウスのウソ2』
の244ページに窓による熱収支が書かれています。熱収支というのは太陽からのエネルギーと冬に外に出て行く熱エネルギーの差です。いわゆる断熱low-eのトリプルのまでを使うと1870ミリ幅、1690ミリ高さの掃き出しだとだいたい1日に3kwhの取得ができたということです。
つまり、掃き出し1面が3khwですからこれを4つとか、5つつければ建物の中が温かくなるというわけです。
実際に当社で断熱をさせて貰った建物を取材したところ、『冬の日中は暑すぎるので暖房器具は切っています』ということでした。具体的には朝9時から夕方6時ぐらいまでは暖房器具を完全に切って生活しているそうです。
住人からの熱エネルギー
ここは簡単にいきます。住人からの熱エネルギーは、1人あたり0.1kwhの熱を出すと考えて下さい。
この前先生の書籍にも載っていますし、多くの人が書かれています。もちろん、大人と子供では廃熱量が違いますし、安静時と運動時の廃熱量は大幅に異なりますが、運動する時間というのは極々短時間です。
ということで、住人の数x0.1kwhの熱が出るので冬はその分暖房負荷が減って、夏はその分冷房負荷が増えるということになりますね。
生活廃熱
これもライフタイルによって異なりますが、モデル的な数値が決められています。夏は、この熱を加えてエアコンで冷房を行い、冬は暖房をそれだけしなくてすみます。
ただし、生活廃熱は常に出てくるわけではなく、調理した時だけ、給湯を行った時だけ、お風呂に入った時だけという一時的な物が多いです。
このほかに家電の待機電力とか、例えばトイレの便座のヒーターなどといったエネルギーが建物の外皮性能がそうでもない時は気にならないのですが、建物の性能が上がれば上がるほど割合が高くなって気になってくるという現象が起きます。
何れにしても、明日お伝えするソフトウエアは、これらの数値を総合的に判断して電気代という形でシミュレーションしてくれています。
ちょっと今日は長くなったので、この辺で!
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