防火認定の実際 2

おはようございます。

MX代表のみなとです。

今日も、毎日のブログを書いていきます。

工務店の皆さんの力になったら良いなと思って書いています。

《《《2023年2月3日 エコ住宅をつくる中小工務店のためのブログ第101号》》》

今日は、防火認定の実際のプロセスについてお伝えしていきますね。

昨日はプランニングが一番大切と書きました。

本当にその通りで、ボードの厚さがちょっと違うだけで工務店さんに使って貰えない可能性が出てきます。ということで、今日は防火認定の工程についてかいつまんで書いていきたいと思います。

プランニングができたら、試験体の制作になります。

断熱材の防火試験の場合は、試験体は3m角の壁をつくります。

実際に柱、間柱を使って3mの壁をつくります。

初めて見るとでかいです。普通の階高は2700mmとか、2900mmですから2階部分もちょっと含まれる感じですね。

もちろんですが、3mよりも2700mmの方が有利ですから、大きめにつくるのです。

45分の準耐火での30倍発泡ウレタン試験体の場合は、サイディングを採用しました。30分と、45分のEPS外張りの場合は、外壁にEPSにカチオンモルタル+仕上げ材で表面の左官仕上げです。

CW断熱(30倍発泡ウレタン) EX断熱(EPS外張り湿式)

構造用面材は両方ともありですが。一番火に弱い木製の合板を使う事で、それよりも強いパーティクルボード、石膏ボード系のEXハイパーやあんしんなどをカバーします。

45分準耐火のEPSの場合は、EXハイパーとEXボード縛りにしてありますが。

そして、内側には12ミリ、9.5ミリの一般的な石膏ボードを使っています。

これは試験次第ですが、失敗しそうな場合は15ミリの石膏ボードを使うか、強化石膏ボードを使う選択を考えます。

いずれにしても、どの材料を採用するのか細かい検討が必要です。

1度試験してしまうとあとから、違う仕様で取りたい場合は再試験になりますからね。

試験体制作は、各試験炉の指定する会社で作ることになっています。

以前は各メーカーがつくった試験体を燃やしていましたが、試験体に水をかけていた会社がいたので指定工場のみの制作になっています。

あるサッシ屋さんなんでが、どことは言えませんが、知りたい人はこっそり聞いてください。

それを燃やす

それをガス炉で燃やします。

700度から900度ぐらいに30分とか、45分でゆっくり温度を上げていきます。

試験が始まるともうもうとした煙で中は全く見えなくなります。

そして、EPS外張りの場合は、始めの数分でモルタルがグラスファイバーのメッシュとともに剥落します。その時に何か物が落ちる音がします。

EPSを全て溶かすと火が貫通して、構造用面材も燃やして、ウレタンに到達します。ウレタンもそんなに長く耐えられません。

ただし、充填の場合は、GWなども同じでして、GWは400度で溶けますので試験後に残っているのか?いないのかは状況次第ですね。

最終的に壁構造の場合は、一番内側にある石膏ボードが、火をある一定時間止めます。

石膏ボードに含まれている水分が気化しながら、石膏ボードが絶えるのです。その時にプチプチという音が聞こえてきます。

ああ、石膏ボードが絶えてくれているんだなとなんとなく解ります。その水分が全て気化してしまうと外側も黒ずんできます。

これは、また始まったばかりの石膏ボードのサーモグラフィーの写真ですが、こんな風に石膏ボードが耐えるのです。

部屋側の石膏ボードの温度が150度を超えてしますと、試験失敗になります。

30分では9.5ミリか12ミリ1枚の石膏ボードですが、45分の試験の場合は2重張りになります。これは告示にそう書かれているからで、内側を石膏ボードが1枚にしたい場合は、その試験も必要になります。

また、燃えたあとの構造はこんな風に真っ黒です。

これは、燃焼試験では、構造部分に火が入ると1分間に0.6ミリずつ炭化が進むのだそうです。30分だと18ミリ。45分だと27ミリ両サイドから炭化が進むので、2×4の場合は、構造材の幅が40ミリないので、火にさらされる側の構造は完全に炭化してしまうことになります。

ちなみに、上から荷重をかけているので、壁(柱)が座屈して、荷重を受け止められなくなると試験失敗になります。

試験後は

試験後は報告書というかたちで、防火に関する有識者委員会の審議になります。有識者委員会の審議で、最終的に国土交通省の大臣認定という形になります。

昨日のハウスプラスのリンク先に委員の名簿がありますが、研究者だけではなく設計者なども入っているのが特徴です。

ハウスプラス確認検査(防耐火試験・性能評価試験)

試験から認定が降りるまでおおよそ3ヶ月ぐらい時間が必要です。

明日は細かい場合分けをちょっとお知らせしてまとめていきますね。

いずれにしても、このような試験は普通はうちみたいな小さな会社は余りしません。理由はサポートして貰えないからという事とかなり費用がかかるからです。この辺りも明日お伝えしていきますね。

でも、こういう試験をコツコツやらないと断熱材に取り組んでいることにならないですからね。お金も時間もかかりますが地味にやっております。

昨日の『防火認定の実際 1』はこちらから。

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Posted by 湊 洋一