経営ノート

「BAUメッセ2017視察レポート」

2年に一度ドイツのミュンヘンで開催される建築建材展BAUメッセ。

MXエンジニアリングでは過去2回、代表の湊(みなと)が工務店様と一緒に
視察旅行を企画していたのですが、
今年はスタッフの藤井(CW断熱技術担当)と池田(企画担当)が視察に行ってきました。

主に断熱材の視察をしてきましたのでその最新情報と、
今後工務店様がBAUメッセに行かれる際に参考になるように、旅程なども合わせてご紹介します。

 

BAUメッセにたどり着くまで

「BAUメッセに行こう」と思ったらまず準備をするのが、
航空券やホテルの手配以外に、BAUメッセの入場券の確保と、
空港から会場までのシャトルバスのチケットを入手です。

これらは現地で手配することも可能ですが、
初めてBAUメッセに行かれる方は事前に準備していくことをお勧めします。

BAUメッセの入場券は公式サイトから入手できます。
http://bau-muenchen.com/

値段は2dayチケットで36ユーロなので、約4,500円ほどです。


BAUメッセの会場となる“メッセ・ミュンヘン”は
日本で言うところの東京ビッグサイトのようなものです。

催事期間中は空港から直通シャトルバスが出るので、
チケットを事前に購入しておくと便利です。
このチケットもBAUメッセの公式サイトから購入できます。

空港から会場へはシャトルバスで30~40分(直通)ですが、
下ろされるのは会場のNorthエントランス前です。

会場はとてつもなく広いので、目的のエリアを事前に決めて
North以外のエントランスに行きたい場合は、
会場をぐるっと一週するシャトルバスに乗り換えます。

事前にチケットを購入しておけば、どのエントランスからでも自動改札機のようなものに
チケットのバーコードをピッとすればすんなり入れます。

クロークもたくさんあるのですが、私たちが到着した午後3時(閉館2時間前)の時点では
すでに預け入れは終了していると言われてしまい、重いスーツケースと、
着込みまくった防寒具を全て持って歩くことになってしまいました。

 

断熱材

EPS系の外断熱をはじめとし、セルローズファイバー、ウッドファイバー、グラスウール、
ロックウール、羊毛、ウレタンなど、一通りの断熱材メーカーが出展していました。

真空断熱材

2年前のBAUメッセで湊が視察した真空断熱材は、今回は1店もありませんでした。

真空断熱材は、熱伝導の媒体となる気体そのものを限りなく取り除く(真空)ことによって
熱の伝わりを最小限にするという断熱材です。

熱伝導率は0.0027W/(m/K)と、従来の断熱材の数十分の一で、
文字通り桁違いの断熱性を誇ります。

ZEHやG1・G2など、高断熱住宅が標準化していく中で、
充填断熱だけでUa値0.6以下を実現できるという点で日本では注目され始めています。

真空断熱材

真空断熱材

しかし、ドイツをはじめヨーロッパ全域では充填断熱よりも圧倒的に外断熱が主流となっており、
あえて充填断熱にこだわる必要がないのかもしれません。
 
ロックウール
 

ロックウールのブース。バーナーで炙った断熱材を触らせる展示

ロックウールのブース。バーナーで炙った断熱材を触らせる展示。

熱~い!!と見せかけて実は全く熱くない。。

木質繊維系断熱材

2年前の視察でもいくつかブースがあった木質繊維系の断熱材ですが、
今回はEPSに並ぶ勢いで数多く出展されていました。

木質繊維系断熱材

生産時の環境負荷が少ないことや、廃棄の際にもバイオマス資源になることなどから、
環境保全意識の高いドイツではニーズが高くなっています。

日本でも数年前から普及し始めていますが、
防火認定などの問題から充填工法が主流となっています。

ドイツでは200mmに及ぶ厚さで外断熱にウッドファイバーが使用されています。

ウッドファイバーの熱伝導率は0.04程度なので性能は高いほうではありませんが、
200mmにもなると熱抵抗値は5を超えるので、
日本で言うところの、グラスウール100mm+EPS50mmと同程度の熱抵抗値になります。

グラスウール
 ブローイング用の白いフワフワのグラスウールを発見しました。 
 
日本で見るものよりも吹き込み用のホースが細く、
直径20mmとのことでした。
 
断熱リフォームに使う際には下写真(右)のように
外壁の屋外側から穴を開けて施工もできるそうです。
密度の確認はどうするのか不思議ですが。。
 
話を聞いたURSAというメーカーのカタログによると
熱伝導率は0.034とのことなので、日本の高性能グラスウールと同程度です。
 
 白い吹き込みグラスウール
 
 
鉱物軽量石膏断熱材

日本語でどう書くのが正しいのか分かりませんが、
軽量石膏に最大75%の空気を含ませて断熱性能を持たせた建材がありました。

断熱リフォームが多いヨーロッパでは需要が高いとのことです。

煉瓦など既存の外壁の上に、最大12mm程度まで噴霧できます。
熱伝導率は0.055。

それ以外にも、外壁の上に重ねる断熱材を紹介しているブースがいくつかありました。

既存の外壁に重ねるということは窓などの開口部が内側に入ってしまいますが、
実際にヨーロッパではそういった施工事例も少なくないそうです。

quick-mix

また、“既存の外壁に断熱材を重ねて、さらにサイディングを重ねるための接続パーツ”
の展示がありました。

↓こういういことです。

断熱改修用のサイディング固定パーツ

断熱改修

ものすごく外壁がぶ厚くなってしまいそうですが、
同じようなパーツのメーカーが数社あったので、
断熱改修の多い欧州ではニーズがあるようです。

 

工場生産のブローイング断熱材

セルローズファイバーやウッドファイバー、グラスウールなどのブローイングを
工場でフレームに吹き込んでから現場で搬入するタイプの断熱工法です。

現場でシート(不織布)を貼ってから吹き込む工法に比べ
密度や細部への吹き込みを綿密に管理できるとのことです。

展示会ではその工業用の機械を展示していました。

 

床パネル(XPSシステム)

XPSドイツの床パネル断熱材

ブースに実物はありませんでしたが、ポスターやカタログだけでもインパクト大でした。

基礎断熱と言うよりは、XPSで基礎を兼ねるということでしょうか。
メーカーのウェブサイトに英語表記が無かったので、ちゃんと理解できないのですが、
木造住宅にも使用可能のようです。
ドイツ語サイトhttps://www.isolohr.de/

図面だとこういう感じになるようです。

フロアパネル 図面

日本でも実現できるのでしょうか。。

↓実際の現場はこんな感じ。

XPS施工事例

 

断熱材との親和性をアピールする外壁メーカー

今回の展示会で一番印象的だったのが、
多くの外壁メーカーが断熱材とセットで提案していることです。

外断熱が30センチ近くなる欧州の家では、いかに外壁を施工するかが課題になります。

湿式・乾式にかかわらず、ほとんどの外壁メーカーが、
断熱材とセットで販売するか、外断熱とどう組み合わせるかを提案していました。

↓漆喰材の展示。画面右側がEPSの上に施工する方法、
 画面左側がウレタンの上に施工する方法を紹介しています。

断熱材と外壁の取り合わせ

↓画面右側は木質系断熱材の上にタイル調パネルを施工する方法、
 画面左側はEPSの上に施工する方法を展示。

木質系断熱材とEPS

↓他の外壁メーカーも。色々な断熱材との組み合わせを展示。

断熱材と外壁

↓サイディングを固定するためのパーツをセットで展示

外断熱にサイディングを固定

↓構造材の外側に断熱材の厚み分ふかして縦胴縁のようなものを固定する方法
 手前は木材、奥は金属製

胴縁にサイディングを固定 

 

展示会全体の印象

あまりの広さに全てのブースをゆっくり見ることはできませんでしたが、
目に留まったものをいくつかご紹介します。

ソーラーカーポート

駐車場用太陽光パネル

a2solarというドイツのメーカーで、
メインはポルシェなどの車に搭載するソーラーパネルの会社のようです。

車載用のパネルを応用してカーポート用に軽量化したり湾曲したりといった
ソーラーパネルを展示していました。

ソーラーパネルの展示

ちょうど1年前に、国土交通省・資源エネルギー庁の職員の方をお招きして
弊社で開催したZEH勉強会でも、参加者の方から
「同じ敷地内の駐車場屋根にパネルを設置して発電した場合、ZEHとして認められるのか」
というご質問がありました。

回答としては「認められる」とのことでしたので、
ZEHの一端として、おしゃれなソーラーカーポートも活用シーンがあるかもしれません。

なお、国土交通省と資源エネルギー庁の方に直接質問して頂ける勉強会を
今年も6月22日に永田町で開催します。
ご興味のある方はこちらのページをご覧ください。参加費は無料です。

2017年6月22日(木)東京 BELS・ZEH・エコ住宅 無料勉強会

 

壁面緑化・屋上緑化

壁面緑化

壁面緑化や屋上緑化のためのブースがかなりたくさんありました。

エコ意識の高さゆえなのだと思いますが、20~30社ほど見かけました。

芝生シートのように植物をシート状にして販売しているメーカーもあり、
建材というよりは植木屋に近いようなブースもありましたが、
それだけ建築と緑化の関係が密になっているのだと思います。

植木屋のような展示ブース

 

ダクトレス一種換気

ダクトレスタイプの一種換気はMXエンジニアリングでも取り扱っています。
ドイツのインヴェンター社の製品です。

第一種換気システム

日本ではダクトレスの一種換気は数社しか流通していませんが、
今回の展示会では多くのメーカーが出展していました。

熱交換ユニットを外壁に設置するため、外壁の厚みが深い欧州の家には向いています。
もともとドイツで生まれた製品なので当たり前と言えば当たり前ですが。

 

当社は断熱屋なので、断熱材をはじめ換気システムや屋上緑化など、
温熱環境に影響のある建材に注目して見学をしてきました。

それ以外の建材でも日本の展示会には無いような商品がたくさんありましたので、
ご興味のある方は是非一度視察に行かれることをお勧めします。
次回の開催は2019年1月です
http://bau-muenchen.com/

 

ドイツの住宅展示場

BAUメッセが開かれているメッセ・ミュンヘンの程近くに、
Bauzentrum Poingという大型の住宅展示場があります。

Grubという駅から歩いて5分ほどなのですが、
駅を降りると、一面雪景色の広野が広がりかなり不安に、、

日本のように街中にあるのではなく、かなり人里離れた広野です。
電車を降りて数分でまつげが凍り、かなりひるみました。。

Bauzentrum Poingドイツの展示場

 

展示場概要

Bauzentrum Poingには60棟のモデルハウスが建っています。

うち何棟かは閉鎖中や改修中とありましたが、それでもかなりの数を見ることができます。

Bauzentrum Poingの配置図

スマートハウス(青)、エコ住宅(緑)、多世代住宅(黄)、サスティナブル住宅(赤)、
というようにマップで色分けされています。

入場料が4ユーロかかりますが、インフォメーションセンターのようなところで
コーヒーを1杯無料で飲めるクーポンを貰えました。

ただの案内所ではなく、カフェのようなバーのような造りになっていて、
食事もできるしビールも飲めました。

モデルハウスの断熱性

各モデルハウスについて一言で言うと、とにかく温かい!です。

感覚的には、日本で高断熱を売りにしている某漢字名ハウスメーカーさんの家よりも
圧倒的に温かかったです!

上述のとおり野外は雪原状態、家の周りをおしゃれに演出している池や噴水は
軒並み凍っていましたが(たぶんスケートができるレベル)、
一歩家の中に入ると着込んでいるコートが暑すぎました。

実際に展示場の中に待機していた営業マンは、ワイシャツ1枚に腕まくりをしていました。

家が熱を抱え込んでいるため、来場者が玄関を開けて出入りしていても
全くと言っていいほど家の中は寒くなりません。

玄関ドアはどこもかなり重厚な断熱ドアで、開閉アシストが付いていました。

住宅展示場の玄関ドア

 

日本で見るような壁付けのエアコンは1台も見かけませんでした。
窓際にオイルヒーターや床下暖房の吹き出し口があるモデルハウスはありましたが、熱は感じず、
「稼働していないのですか?」と聞くと「あぁ今日は暖かいからほとんど動いていないね」と。
ちょっと待ってください外はマツゲが凍るほどの極寒でしたけど。。

オイルヒーターと床下暖房

 

もちろん断熱材を紹介するサンプルも展示してありました。
が、どこも営業マンさんは熱心に説明しれくれません。「うちはこれ使ってるけど、まぁ普通だね」と。

BAUメッセの開催期間中は、この展示場にも世界中から建築関係者が視察に来ていたようで、
お客でもない私たちに細かく説明してもしょうがないと思ったのかもしれませんが。。

 

 

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