経営ノート

「世界の最新断熱材を探しに。ドイツBAUメッセ視察報告」

先月ドイツで行われたBAUメッセ(平成25年1月14日~19日)という
欧州最大の住宅関連展示会にいって参りました。

BAUメッセ開催都市ミュンヘンという街

ミュンヘンに関して言えば、全く予備知識がなく、
せいぜい昔のサッポロビールのCMソングぐらいでした。

『ミュンヘン、さっぽろ、ミルウォーキー♪』というヤツですね。

ご存じの方は多いと思います。

調べてみると歴史的にはヒットラー(ヒットラーは、隣国オーストリアの出身)の
重要な支持基盤であったということと、
最近のトピックではBMWの本社が有ることなどが解りました。

ドイツの主要工業都市の一つですね。

規模は日本の数倍 出展者は2千社+来場者20万人

メッセの会場はとても広く、日本で展示会が行われる東京ビックサイトの全面積の
およそ2倍の54万平米(ビックサイトが23万平米)です。

出展者数は、2千社を越えて、
来場者も20万人を超える世界最大規模の建築展です。

窓メーカなどの大きなブースでは、
今回の展示会のために億単位の費用をかけて一大プロモーションをかけたり、
フランスの大手ガラスメーカであるサンゴバン社は、
ミュンヘン市内の自社の施工物件を巡るツアーを行ったりと、
独自の営業戦略が見られました。

展示ブースは、日本のブースと違って小間が非常に大きく、
大手は商談スペースが充分に取ってあり、
広いブースになると、2~300人が一同に着席して、商談を行っています。

ただ、商談と言っても営業が同席せずに食事だけをしているグループもかなり目立ちました。

スナックや、サンドイッチなどを無料で提供して、
コーヒーだけではなく、ビールやワインまで提供しているブースも数多くありました。

このあたりの感覚は日本の建材メーカには見られないものです。

断熱材メーカー400社

当然ですが、私が興味をもつ部分の多くは断熱です。

この展示会では、およそ全体の2割程度の面積を使って
ウレタン、EPS、XPS、セルロースファイバー、ウッドファイバー、グラスウール、ロックウール、羊毛、木質断熱材、真空断熱材など
有りとあらゆる断熱用の素材が所狭しと並んでいました。

断熱に関しての出展者は400社程度有ったようです。

真空断熱材VIP

ほとんどの材料は日本でも見ることができますが、
ひときわ目を引いたのは、今回は3社が出展していた真空断熱材です。

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真空断熱材というのは、日本では、最近リクシル社が、
パナソニック製の真空断熱材をリフォーム用に販売していますが、
一般的な断熱材(グラスウールや発泡系材料、シリカなど)を
プラスティックの袋の中に入れて真空状態にしているものです。

そのため、性能は通常の断熱材の5~10倍はある材料です。

つまり、5分の1程度の厚さで同じ性能が出せるわけです。

ただ、この材料の問題点は、2つあります。

価格が非常に高価であるということが一番の課題です。

現在の販売価格は平米単価が1万円以上してしまいます。

現在のCW断熱のおよそ5倍です。

性能も3倍以上ありますが、この費用では実用性に欠けます。

ただ利点も多いので、当社としては大手断熱材メーカと
安価に真空断熱材を提供できる道を模索しております。

平米3~5千円程度で提供できれば、高級住宅には使えると思っています。

もう一つは、プラスティックフィルムの袋に穴が開いて真空でなくなってしまうと、
断熱性が著しく落ちるという点です。

当然、材料にカットして使うことができないという特性から、
サイズの制限も出てきます。

つまり、現場あわせで材料を加工できないという欠点が有るのです。

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外断熱改修の需要

その他の断熱で比較的多かったのは、外断熱です。

ドイツは、人口は8千万人あまりと日本の7割程度ですが、
住宅に関して言えば年間の新築着工戸数が30万棟以下と
日本の1/3程度しか新築マーケットがありません。

そのため、建築業者は外断熱改修などで食べているという現状のようです。

ドイツの外断熱協会のレクチャーによれば、
既に20億平米の外断熱改修を行ったそうです。

20億平米というのはちょっと想像できませんね。

多くはビルでしょうが、住宅(1棟約200平米)に換算すると1,000万棟に相当します。

ただ、ドイツには3,000万棟ビルがあるとのことですから、
まだまだマーケットはあると鼻息は相当荒かったです。

これからは、日本でも外断熱改修がすすむ可能性があります。

この場合の一番の問題は、断熱材を外に張るため、火災対策となります。

主にEPS(発泡スチロール)をつかう外断熱工法は、
防火認定が降りない場合が多いため、日本国内の外断熱業者は苦労をしている様です。

展示会場では、グラスウールの外断熱用材料が販売されていました。

これは、火災対策のために販売しているようです。

価格は聞いてきませんでしたが、日本のグラスウールに比べてかなり圧縮してあったので、
コストはかなり割高になると思います。

断熱材の今後の傾向

この他にも断熱工法のバリエーションが非常に多く、多彩を極めておりました。

研究者は面白いのかもしれませんが、工務店としても、弊社の様な販売店からも、
選択の幅が広すぎてなにが良いのか判断できないのが課題です。

CW断熱が欠点の全くない断熱工法だとは考えていませんが、
これほど多くの断熱工法があると、今後の断熱工法の方向性を理解する事が難しくなります。

日本でもQ1住宅(Q値が1以下の住宅)なども出てきていますが、
まだまだ市場の主流にはなりそうもありません。

一部の熱心な工務店が趣味的に作っているというのが印象です。

ですので、ここまでの住宅を建築する必要は今のところはありませんし、
深い勉強も必要はないとは思いますが、こんな事を真剣に考えている建築業者が地球の反対側にはいるんだという理解はあっても良いのかなとも思います。

日本で家を建てるお客様も、断熱に関しては関心を見せる機会が増えてきていると思います。
10年後の日本の住宅の仕様を考える意味では、とても意義深いと思います。

 

完全自然素材の断熱 木質断熱材

この他に珍しかったのは、木質断熱材です。

木材のわた状の繊維を集めて断熱材にしています。

日本でも林野庁などがこの断熱材に取り組んでいる様ですが、
現状では、まだ防腐、コストの問題などクリアすべき問題が多いようです。

ただ、環境への影響は最小限に抑えられるので、
自然素材をうたっている工務店は、羊毛断熱以外の天然由来有機系(生物からの材料)の断熱材として注目に値するかなと考えております。

どの展示も特徴的だったのは、
この厚さでこの施工だとQ値(現地ではU値)がいくつだと明示している点です。

μ値を明示している展示もありました。

そのため、厚さがどうなったらどの程度の断熱性能が得られるかが
数字で明確に表現されています。

当社でも今後は性能表示の点で、
工務店の皆様だけではなく、よりお客様にわかりやすい表示を心がけて行きたいと考えております。

20年寿命のコーキング材

断熱材以外で個人的に注目したのはコーキング剤です。

現地の方と話をすると、コーキング剤の寿命は、最低20年は持つとのことです。

日本のメーカのものは、およそ5~10年でシリコンが切れてきてしまいますが、
欧州のメーカは、耐紫外線の材料が多く配合されているため
15年以上経っても初期状態を維持しています。

このメーカとは、サンプル輸入の交渉をはじめていますので、また動きがあればお知らせいたします。

今回は、当社が販売しているドイツ製1種換気システム(ベントサン)の
総代理店エデフィス省エネテック(株)が参加している、
日本スマートハウス協議会の主催するツアーでいって参りました。

ツアー参加費用およそ20万円(ホテル代、航空券代込み)の他には、数万円の費用でした。

この協議会の顧問である(財)建築研究所の坂本雄三理事長や
同協議会のメンバーの方々との訪独で技術的な解説を一緒にしていただき理解しやすかったです。

この展示会は、2年に一度開催されますので、
次回以降は、弊社の施工店の方々をご招待して行ってみたいと思います。

次回は、2年後になりますが、その時にはお声をおかけしますので、是非ご一緒ください。

欧州の建築物を見ることも、建築に携わるものとしてはとても勉強になりました。

今後は、海外の展示会視察を増やしていこうと考えております。

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